又吉直樹『火花』 感想~ドラマ『火花』を無料で見る方法

又吉直樹 火花


 

第153回芥川賞を受賞した『火花 』(又吉直樹著・文藝春秋)を遅まきながら読みました。

150ページ程の小説ですが、予想以上に楽しめてよかったです。

漫才に関わる当事者でしか表現できない部分もあると思うので、表現の信ぴょう性も含めて、信頼感を持ちながら読み進めることができました。

 

先日、同じ著者の『夜を乗り越える 』を読んでいたので、もしかして後味の悪いことになるのではないかと心配しながら読みましたが(又吉氏は太宰の死にこだわっていたので)、後味はわりと良かったです。

 

本書に対する評価をいくつか眺めていると、私の錯覚かもしれませんが、お笑い芸人が純文学を書くことに偏見を持っている人が少なからずいるようです。

人それぞれだと思いますが、敵も味方も多い人は大物だと思うので、次回作にも期待しています。

 

『火花』については、ある箇所が盗作だと疑われていましたが、その部分を含めて下記に感想などを書いてみたいと思います。



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又吉直樹著『火花』について

『火花』の概要

『火花』(ひばな)とは、お笑いタレントの又吉直樹が書いた初の中編小説である。初出は『文學界』2015年2月号(文藝春秋)。

掲載時より現役人気お笑いタレントの手がけた純文学小説として話題を呼び、文芸誌である同誌が増刷されるヒットとなったほか、第28回三島由紀夫賞候補作、第153回芥川龍之介賞受賞作。

2016年、Netflixと吉本興業によって映像化された。

※引用:ウィキペディア『火花』

上記には「純文学小説」とありますがそもそも純文学とはなんでしょうか。

 

ウィキペディアによると、

純文学とは大衆小説に対して「娯楽性」よりも「芸術性」に重きを置いている小説を総称する、日本文学における用語

となっています。

ただ現在では、双方がお互いのいいところを取り入れることが多くなっているのでその差が曖昧になっているとのこと。

私は小説を読むことがそう多くないので、このあたりの違いは正直わかりません。。

 

あらすじ

売れない芸人・徳永は、熱海の花火大会で、先輩芸人・神谷と電撃的な出会いを果たす。徳永は神谷の弟子になることを志願すると、「俺の伝記を書く」という条件で受け入れられた。

奇想の天才でありながら、人間味に溢れる神谷に徳永は惹かれていき、神谷もまた徳永に心を開き、神谷は徳永に笑いの哲学を伝授しようとする。

※引用:ウィキペディア『火花』

私が本書を一気に読めた理由は、主人公・徳永と、アクの強い先輩・神谷との師弟関係が、時の流れの中でバランスを崩しながらも、最後まで維持できたからだと思います。

後輩の徳永が売れてくるにつれて、売れない神谷はだんだんと壊れていきます。

その壊れ方が神谷の性格上、先が読めるようで、だから気になって最後まで読み続けられた気もします。

 

ただ、ラストの壊れ方はさすがに予想できませんでした。。

こちらではネタバレしませんが、衝撃のラストはドラマではどう表現されているのでしょうか。



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盗作疑惑について

実はこの小説、問題になったシーンが54~59ページにかけて存在します。

半年以上も前の話なのでご存じの方は多いと思いますが、そのシーンでは大師匠の訃報が報じられ、いてもたってもいられなくなった主人公が相方の山下を呼び出し、公園でネタ合わせをするんです。

 

この時、主人公の徳永は、相方にやる気がないので殴りたくなり、先輩の神谷に相談の電話をかけることになります。

神谷との電話では、なぜか鍋の話で盛り上がるのですが、その話が「夢路いとし・喜味こいし」の漫才と酷似していたので、それが問題になってしまいました。

 

上記の件では雑誌「サイゾー」が文藝春秋に質問状を送ったのですが、文藝春秋からは、先輩芸人のいとしこいし師匠に敬意を表して書いたものである、との発表がありました。

ちなみにユーチューブで、「いとしこいし わたしの好物」と検索すれば、もしかしたら元ネタになった漫才がいくつか出てくるかもしれません。

 

一番印象に残ったシーン

一番心に残ったシーンはやはり衝撃のラストなのですが、ネタバレになりますので他の場面をひとつ。

それは主人公・徳永が、コンビ解散前の漫才を客前で披露するシーンですが、漫才が終わったあとの徳永の独白に、感慨深いものがありました。

必要がないことを長い時間をかけてやり続けることは怖いだろう? 一度しか無い人生において、結果が全く出ないかもしれないことに挑戦するのは怖いだろう。

無駄なことを排除するということは、危険を回避するということだ。臆病でも、勘違いでも、救いようのない馬鹿でもいい、リスクだらけの舞台に立ち、常識を覆すことに全力で挑める者だけが漫才師になれるのだ。

それがわかっただけでもよかった。この長い月日をかけた無謀な挑戦によって、僕は自分の人生を得たのだと思う。(130ページより)

先の見えないことを続けることって、なかなか出来ることではないと思います。

失敗しても、その先を信じることが出来なければそもそも継続なんてできませんよね。

シーンは衝撃のラスト、文章はこの部分が『火花』の中で一番気に入りました。



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ドラマ『火花』を無料で見る方法

ドラマ『火花』は、ネットフリックスで配信されていますので、まずはそこに登録すれば、最初の1ヶ月は無料お試しができるそうです。

当然、その期間内なら『火花』を無料で見ることができるというわけです。

解約しなければ当然料金は発生しますので、その点はくれぐれもお気をつけ下さい。

 

私はまだドラマ『火花』を観てませんが、なんでもトータル11時間見なければいけないとのこと、ちょっと腰が引けてます。。

最長でも4~5時間に収めてくれたらありがたかったのですが。。(映画の前篇・後編を合わせたくらい)

でもラストの回がかなり泣けると聞いてますので、気になる方はご視聴してみてください。

 

感想

読んでいて、若いときに自分が経験した感情が少し蘇ってくるのを感じました。

あこがれからはじまったにせよ、先がどうなるかわからないものに挑むって、かなりのリスクが伴いますよね。

でも、選んだ道で自分を燃焼させることができたとしたら、きれいごとかもしれませんが人生は輝くのだとも思います。

 

その意味ではこの『火花』、私は先輩の神谷が一番輝いているように見えました。

さすがに真似したいとは思いませんが、対人関係の中で苦しみながら生きている神谷を見ていると、自分はまだまだだなと思います。

著者の次回作を今から期待してやみません。

 









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