美達大和『女子高生サヤカが学んだ「1万人に1人」の勉強法』感想

美達大和 女子高生サヤカが学んだ「1万人に1人」の勉強法


 

女子高生サヤカが学んだ「1万人に1人」の勉強法 』(美達大和著・プレジデント社)の著者は殺人事件の無期懲役囚。

衝撃的過ぎるプロフィールですが、著者は現在も服役中で仮釈放を放棄しているそうです。

この本を読んだきっかけは、清水克衛氏のサイトで見かけ、アマゾンの高評価で興味を持ちました。

 

本書は、2人の子ども(高校生の女の子と中学生の男の子)と著者が、実際にやりとりした文通をもとに作られています。

文通を通じて、思春期の子どもの悩み(勉強が出来ない、ケンカに強くなりたいなど)に著者が真剣にこたえる、ある意味Q&A的な構成。

子どもとの文通ということもあり、勉強や運動、ものの考え方のテクニックなどについて、わかりやすく説明されており、ストレス無く読み進めることが出来ました。

 

最近勉強してないなと思われる方には、うってつけの本だと思います。

著者の経歴とタイトルのギャップがかなり激しい本ですが、本書はいったいどういう本なのでしょうか。



スポンサーリンク

美達大和著『女子高生サヤカが学んだ「1万人に1人」の勉強法』について

本書の内容と構成

知的すぎる無期懲役囚から教わった、99.99%の人がやらない成功法則

普通の主婦が、人を殺めて服役中の無期懲役囚と文通をする。

しかも、高校生の娘や中学生の息子にも文通を勧めて、その無期懲役囚から勉強方法を教わる……。

一般には考えられないことを私たちは4年以上も続けています。

今では、主人も含めて家族みんなが、刑務所からの手紙を楽しみに待つようになりました。

【目次】
はじめに「私はなぜ、無期懲役囚と文通をはじめたのか」
第1章 人が美しく、羽化するために。
第2章 頭のよさとは、何だろう?
第3章 死刑でも構わないと思いました。
第4章 99.99%の人は、自分に甘いです。
おわりに「伝えたかったのは、人生が頭の良し悪しでは決まらないということです」

引用:Amazon『女子高生サヤカが学んだ「1万人に1人」の勉強法』

上記の補足ですが、99.99%の数字の意味は、「したい人、10000人。始める人、100人。続ける人、1人。」。

上記は表紙に掲載されているフレーズですが、もとは中谷彰宏氏のコピーなのだそうです。

 

ちょっと厳しい数字にも思えますが、続けるということは死ぬまでという意味を含めると、信憑性のある数字に思えてきます。

余談ですが、私は20年以上技術職を続けましたが、家庭の事情で職種を変える状況に追い込まれていますので、続けることの難しさをまさに今、実感しています。

 

一番印象の強かったページ

心に強く残ったところは、女子高生サヤカが難関の医学部をめざすことを決めたときの著者の返事。

不安や焦りを感じる時間はサヤカさんにはありません。そんな時間があれば勉強に励んでください。

道を決めるまでは迷っても構いませんが、道を決めたあとは、もう迷ってはいけません。(118ページより)

やはりイメージは大事だそうで、この場合、医学部へ合格したイメージをするのですが、ぼんやりでなく、合格して家族が喜んでいるシーンなど具体的に思い描くそうです。

そして毎日、自分が合格したシーンを思い描き、コツコツと地道に勉強を続ければ自ずと合格の道がひらけるとのこと。

イメージについては極めてよく聞く内容なのですが、やはり基本はこれにつきるのだなと納得しました。

 

やみくもに進むのではなく、必ず自分の弱点を冷静に分析してください。それもしないで、「ダメだ」「不安だ」というのでは、自分で自分の足を引っ張っているのと同じです。

世の中で失敗する人の大半はこのタイプの人です。自分で決めた目標を達成できない人というのは、誰のせいでもなく、自分で勝手にできないように行動する人だと覚えておいてください。

サヤカさんが今、やることは「弱点を見つけて潰していく」、たったこれだけのことです。(119ページより)

私は自分の弱点を考えることが苦痛なのか、いつもやりっぱなしのことが多いので、これをまずあらためなければと思いました。



スポンサーリンク

役立つ3つのページ

・暗記に弱い

暗記に弱いという悩みに対して、記憶する際に何よりも大切なのは、「大丈夫かな?覚えられないのではないか」と考えないことだといいます。

脳は入力された情報を処理するときに、「仮説立証型」といって、「できると確信する」(「仮説を立てる」と称します)と、獲得した情報の中から効率的に解答を引き出そうと認知情報を処理する部位がフルに動きます。

その結果として、「できるんだ!」と確信したことは必ずできるようになるのです。反対に出来ないと思ったとき、脳はできない理由を求めるようになります。(56ページより)

以前、あるラジオ番組で聴いたのですが、鍵などどこに置いたか忘れてしまうのは、置くところを意識していないからだと言ってました。

大げさですが、指差し呼称でここに置くぞと確認すればそう忘れることはないそうです。

その意味では、無意識に物事をするのではなく、行動に動機付け(モチベーション)を加える事はとても大切なのだなと思いました。

 

・焦っているとき

焦りは自分の心が勝手に作るものです。焦って効果の上がることは何ひとつありませんから、「焦る暇があったら、英単語のいくつかでも覚えろ」と自分に言い聞かせてください。(中略)

人は真剣に考えはじめたとき、不安が湧き上がります。問題はそれに囚われ過ぎることです。(91ページより)

特に「何ひとつありません」と言い切っているところに、焦りがちな私は救われました。

 

・自信について

自信についてあまり考えたことはなかったのですが、本書を読んで少しすっきりしました。

自信についてかきますが、この自信は自分の存在にに持つものではありません。

「俺は凄いんだ」「俺はほかの人とは違うんだ」「俺は特別だ」などと、自分のやったことではなく、自分自身に持ってはいけないのです。

自信を持つ対象は自分が何かに取り組み続けたという、自分の心と行動に持ってください。(160ページより)

かなり深い内容だと思うので、頭に入れておこうと思います。

 

感想&まとめ

結果を出すために大切なことは、やはり「継続」につきると思いました。

言うのは簡単ですが、なぜ続けられないのか、どうすれば続けられるのかについて、著者はいくつかの視点から子どもたちに説いています。

 

「勉強は何のためにするのか?」というサヤカの問いには、楽しくないものにでも平然と取り組む、そして課題を忍耐強く解決する能力を養う訓練が勉強だ、とこたえます。

とどのつまり、人間の業績や成果は、頭のいい悪いより、どのように取り組み続けたかということで決まるそうで、それが成功の秘訣とのこと。

著者の他の本も読んでみたいと思いました。