【アドラー 本】子育てや恋愛にも!『人生を変える勇気』感想

岸見一郎 人生を変える勇気


 

嫌われる勇気 』『幸せになる勇気 』に続き、アドラー本の最新刊、『人生を変える勇気 – 踏み出せない時のアドラー心理学 』(岸見一郎著・中公新書)を読みました。

本書は対話形式ではなく、いわば88のお悩み相談といった風の構成になります。

子育てや恋愛、職場の悩みなどが10項目のカテゴリに分けられているので、知りたい悩みごとにアクセスしやすくなっています。

 

それにしてもこのお悩みの数々、いわゆる「あるある」がたくさんありますので、手元に置いておけば少しは安心できるかも。

かなり厳しい回答もありますが、アドラー心理学ならではの”劇薬”ということで、納得しながら読みました。

お悩み相談のQ&Aは今までにもいくつか見たことがありますが、こんなに厳しいQ&Aを見たのはこの本が初めてのような気がします。

そんな『人生を変える勇気』、いったいどんな本なのでしょうか。



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『人生を変える勇気』について

本書の内容と構成

130万部突破! 『嫌われる勇気』著者の最新作
NHK番組『おはよう日本』『あさイチ』などで大反響の心理学が、あなたの悩みに答えてくれる

恐れるな! 「ダメな自分」を直視せよ!
「陰口をいう友人」「理不尽な上司」など88件の悩み相談
ブームをつくった第一人者があなたの悩みに応えながら、アドラー心理学を本当に使える実践的なものとして伝授する。

一歩を踏み出すための“劇薬”がここに。
あなたは、これからの人生をどのように選択しますか?

◆目次
はじめに― 自分のことが好きですか?

第I部 自分を好きになる勇気
1章 自分へのクヨクヨ
2章 友人とのモヤモヤ
3章 人間関係のムカムカ

第II部 青年の悩み
4章 勉強、就活のグズグズ
5章 職場のイライラ
6章 恋愛のウジウジ

第III部 壮年の悩み・老年の悩み
7章 結婚のピリピリ
8章 育児のドタバタ
9章 家族のイザコザ
10章 老いのオロオロ

※引用:Amazon『幸せになる勇気』

参考程度になりますが、質問が多く掲載されている上位5位の章は下記になります。

1)5章 職場のイライラ…13個
2)6章 恋愛のウジウジ…12個
3)7章 結婚のピリピリ…10個
4)8章 育児のドタバタ…10個
5)10章 老いのオロオロ…9個

 

身近に発生する対人関係の悩みが上位を占めていますよね。

ところでアドラー心理学は「すべての悩みは対人関係の悩みである」が前提となっており、神経症も心の問題ではなく、対人関係の問題だと考えます。

救われるのは、今までの対人関係がどうであったかはどうでもよくて、重要視するのはこれからの対人関係の改善。

とてもわかりやすいですよね。

この対人関係は悩みの源泉であるだけではありません。人と関われば、どんな形であれ摩擦が起きないわけにはいきません。

だからこそ、対人関係を避けようとする人は多いのですが、生きる喜び、幸福も対人関係を離れては考えられないのです。

この対人関係をどう見るのかが悩みを解決する突破口になります。(10ページより)



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勉強になったQ&A

勉強になったQ&Aの一部をメモしてみたいと思います。

数ページある中の数行なので、気になる方はぜひ本書をお読みください。

 

・何をしても後悔する人に対して

どんな決断をしても必ず後悔すると思っておけば、決断前の迷いを回避し、決断後の後悔も受け入れられるでしょう。(37ページより)

 

・人に助けを求められない人に対して

助けを求められない人は自分にしか関心がない人なんだそうです。

例えば道をたずねたときにどう思われるかを気にする人は、約束の時間に遅れずに到着するという重要なことをなおざりにしているからとのことでした。

一般に、一人ではできないことがあれば、人に助けを求めるべきです。

自力でできることまで人に助けを求めるのは甘えですが、できないことをできないといえなければ、結果的に他の人に迷惑を及ぼしてしまいます。(119ページより)

 

・友情と恋愛の違いとは

楽しい時間を過ごした後、次に会う約束をするかしないかが友情と恋愛を区別する基準です。(145ページより)

友達だったら次に会いたいと思っても、それはまた会おうと思ったときに考えればいい話ですが、恋人は長く会えないと不安になるので次に会う約束をするそうです。

友人同士は束縛し合わない、という説明はとてもわかりやすかったです。

 

・子育てでイライラしてわが子を支配したいという気持ちになる

怒りの感情を抑えるのは簡単ではないので、そもそも怒りの感情を使わないよう工夫したほうが良いそうです。

私も言うことを聞かない子どもに対して、命令口調になることがありますので反省点が多いです。

怒りに変わるコミュニケーションの仕方を学べば、存在しない怒りを抑えることもなくなるそうです。

代わりに、相手にしてほしいこと、してほしくないことを言葉でお願いすればいいだけのことです。

お願いというのは、相手が「いや」といえる余地を残した言い方です。

「~してくれませんか?」と疑問文でいったり、「~してくれると嬉しい」「~してくれると助かる」と仮定文でいえば、相手が「いや」といえない命令をする時より抵抗は少なくなります。(201ページより)



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まとめ

一見自分には関係ないと思う質問でも、著者はすべてにおいて関係がある、としています。

あなたがもし若ければ、親や上司の心理を理解するのに本書は役立つでしょう。

逆にもしあなたが人生の年輪を重ねているのでしたら、子どもや部下の気持ちを理解する一助となるでしょう。

本書が取り扱う88の悩み相談は、どれひとつとして、あなたに関係しないものはないはずです。(12ページより)

 

本書を読んで、人が経験する大体の悩みがこの本には集約されていると思いました。

私は過去に上司のパワハラにあい、かなり悩んだ挙句、職場を後にした経験がありましたが、的を得たQ&Aがありましたし、恥ずかしながら何度も口にしてきた離婚についてもしかりです。

私はあまり良い人生を送っていないのですが(汗)、それゆえか、本書では結構はまるところが多かったです。

『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』は対話形式なので、アドラー心理学を系統立てて理解できましたが、反面本書のように幅広い疑問にはピンポイントで答えてはくれません。

対人関係に悩んでいる方には必読の一冊だと感じました。