映画64(ロクヨン)後編感想(ネタバレなし)~結末が原作と違う!

映画64(ロクヨン)後編


 

映画64(ロクヨン)の後編を観に行きました。

結末が原作と全く変わっていたのにまずびっくり!

そしてその出来がとても良かったので再度驚きました。

 

こちらでネタバレはしませんが、最後の原作にないシーンはまるまる付け加えられた感じです。

原作通りと決め込んでいたので、展開が変わったとき何が起こったのかはじめわかりませんでした。

 

とってつけたような感覚にはなったものの、最後のシーンにのめりこんでしまい、横にいた家内なんかは気が緩んで館内でひとりごとを発する始末。。

終わり方は原作やテレビでは ”もやっ”  としていたのですが、映画では気持よく終わらせてくれました。

まだ興奮が冷めてませんが、こちらでは映画64(ロクヨン)後編についての感想などを書いてみたいと思います。



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映画の見どころ

・子役の存在感

子役の存在が、映画64(ロクヨン)ではよりクローズアップされていたことに好感が持てました。

原作もテレビも、子どもはあまり登場してなかったように思います。

そして、前編で翔子ちゃんが持っていたメーダマ(どんど焼きで使われる木の枝)が後編では意外な活躍をしてくれます。

※メーダマについてはこちらが詳しいです
→ 日本すきま漫遊記>高浜西地区のどんど焼き

ちなみにメーダマは、原作やテレビにはでてこず、映画オリジナルの小道具になります。

 

・三上(佐藤浩市)と雨宮(永瀬正敏)が相対するシーン

映画64(ロクヨン)後編

特に印象に残ったのは、雨宮が三上に「あなたは大丈夫ですか?」と尋ねるシーン。

このシーンは、原作やテレビと大幅に変えてありました。

原作&テレビでは、長官視察が中止になった件を雨宮に伝えるために、三上は雨宮宅に出向くのですが、雨宮は留守で(多分犯行の準備で忙しいから?)結局、記者会見場から三上が雨宮に電話で知らせることになります。

でも映画では、ロクヨンの名ゼリフ「あなたは大丈夫ですか?」が、三上に面と向かって伝えられます。

とても重要な場面なので感慨深かったです。

 

このシーンとリンクするのが、その前に三上が雨宮宅の仏壇の前で娘のあゆみを思い出し、不覚にも涙を流してうろたえる場面。

三上は雨宮から「大丈夫ですか?」と聞かれたことを、あの時の仏壇の前のことと結びつけます。

その後、三上は雨宮から「ちょっと座りませんか?」と誘われ、その後しばらく話し込むのですが、そのシーンもなにかしら凄みがあって、かなり見ごたえがありました。

 

パンフレットによると、佐藤浩市と永瀬正敏の映画共演は、これがはじめてとのこと。

2人は10年程前に映画撮影のために一緒に海外へ行ったことがあったそうですが、クランクイン直前に製作中止になったそうです。

2人の素晴らしい演技の裏にはそういう隠された事情があったんですね。



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・捜査指揮車

なんといっても山場は、捜査指揮車での追跡シーンでしょうね。

三上(佐藤浩市)と、かつての上司・松岡(三浦友和)とのぶつかり合いはとても迫力がありました。

 

ところでパンフレットによると、この捜査指揮車は映画的なウソがあるそうです。

それは内部の高さを30cm高くして動きやすくしていることや、車内側に設置されたモニター。

外が見えるモニターがあれだけ付けられていることはまずないとのこと。

ただ他の装備に関してはかなり本物に近いそうです。

 

ちなみに、なぜ松岡は捜査指揮車にいながら64の犯人がわかっていたのでしょうか。

原作では、三上が松岡にその疑問を電話で聞いているシーンがあります。

実は松岡は、あの64(ロクヨン)以降の14年間ずっと、会う人物全てが64の犯人かどうか自分に問いただしていたんです。

〈俺はな、初めて会う人間すべてに目で問い掛けることにしている──お前はロクヨンのホシか?〉

「あ……」

〈そうだと言う奴はおらん。ただな──○○は娘を誘拐したホシよりもデカを恐れていた〉

三上は止めていた息を吐き出した。

(横山秀夫著64より、○○の部分は管理人が伏せ字に変更)

映画では、犯人が初めて会う松岡を、後ろ越しに見上げるシーンでしたよね。

少しだけがっかりしたところ

少しだけがっかりしたところは、三上(佐藤浩市)がかつての上司・松岡(三浦友和)をトイレで待ち伏せするシーン。

松岡が手を洗うときにハンカチをバサッと振る癖を三上は覚えていて、その音で個室から出てくるのですが、原作ではハンカチではなく手刀なんですね。

松岡だ。そう直感した。 用を足した。靴音が移動する。蛇口を開いた。手を洗い、そして顔を洗っている。蛇口が閉じられた。水音がやんだ。三上はドアの隙間に耳を押し当てていた。

ヒュッ。 三上はそろりと個室を出た。最初に肩口が見えた。腕の先は、振り下ろした手刀のままだった。

(横山秀夫著64(ロクヨン)より)

やはり絵的な問題なのか、手刀で水をきると床が汚れたりして気になる人がいるからなのか。

原作で好きなシーンだったので、個人的には手刀のシーンを見たかったです。。



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主題歌&音楽

主題歌は小田和正『風は止んだ』。(アルバム『あの日あの時』に収録)

この歌は、前編終了後に流れた時は違和感があったのですが、後編終了後に流れた時はかなりはまってました。

前編の終わり方がかなりざわついていたので、違和感があったのだろうと思います。

こういう場合は、主題歌が2つあってもいいと思います。

 

映画64(ロクヨン)のサントラは、『クライマーズ・ハイ』『思い出のマーニー』など、これまで幅広いジャンルで活躍を見せてきた村松崇継氏が担当しています。

感想

映画64(ロクヨン)後編

映画64(ロクヨン)は、前・後編通じてとても面白かったです。

それは64が犯人を追うだけのストーリーではなく、組織と個人の様々なしがらみの中で、人が向き合う悩みや葛藤を、リアルに描き出しているからだと思います。

だから組織に属しているサラリーマンや、特に子を持つ親にとっては身につまされる映画だったのではないでしょうか。

 

私ごとですが、涙を一番誘ったのはラストで女の子が泣き叫ぶシーン。

あの泣き方は、以前うちの子がストレスでパニックになった時の症状と重なります。

独特の吠えたような泣き方になるのですが、その辺り現実味あるな~と演出に感心してしまいました。

 

著者は64の続編を書く構想もあるとのこと、今後の動向に期待です。

もう一度小説を読みたくなってきました。

 

⇛ 映画64(ロクヨン)前編の感想はこちら!

 

⇛ 映画64(ロクヨン)公式サイト

⇛ 64(ロクヨン)著者、横山秀夫インタビュー

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