嫌われる勇気(アドラー心理学):再読して気づいたこと

嫌われる勇気


 

言わずと知れたベストセラーの名著『嫌われる勇気―自己啓発の源流「アドラー」の教え 』(岸見一郎・古賀史健著・ダイヤモンド社)。

この本は2013年の年末頃に出版され、いまだに売れ続けている本です。

わたしは2年程前に買ったのですが、この6月に岸見一郎氏の新刊(新書)、『人生を変える勇気 – 踏み出せない時のアドラー心理学』(岸見一郎著・ 中央公論新社)が発売されるので、おさらいの意味で読み返してみようと思いました。

『嫌われる勇気』を購入したきっかけは、当時、雑誌でアドラー心理学の特集をしていたからです。

 

アドラー心理学は難解と言われていますが、この本は2人の対談形式で書かれており、また登場人物(特に青年)のキャラが立っているので、読み物としても楽しく読むことができます。

私の好きなデール・カーネギーも影響されたという、アルフレッド・アドラー。

いまだにベストセラー上位に君臨するこの本を、今一度確かめてみたいと思います。



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本の感想

「すべての悩みは対人関係の悩みである」

「人はいま、この瞬間から幸せになることができる」

上記2つの言葉は、この本の見開きにもあるアドラーの言葉です。

この本では最低限、この2つは理解できるようになります。

 

今回再読してわかったのは、1~2回読んだだけではこの思想は私には落とし込めないということ。

今まで1~2回読んだつもりだったのですが、最後の方の数ページを読み込めていないことが今回よくわかりました。

多分、表面上さらっと読んだだけだったのでしょう…。

でも今回は最後まで熟読することができました。

 

それにしても、この本で登場する、哲人と青年のやりとり、久しぶりに読みましたが相変わらず面白いです。

ここぞとばかり出てくる青年の不敵なセリフ、「ほほう!」や「ふふふ」がなんとも微笑ましい。

 

この本は小説感覚で読んでいけるので、よくある心理学や哲学の本にあるような堅苦しさは全くありません。

若いころに、プラトンの『ソクラテスの弁明』を読んだのですが、イメージ的にはそちらに近いです。

登場人物が2人だけ、そして対話形式で書かれているから読みやすいんでしょうね。

 

『嫌われる勇気』は、実践レベルまでは書かれてはおらず、概念的な説明にとどめているように思います。

この本を見る限り、アドラー心理学はけっこう複雑なので、これ以上書かれても消化できなかったかもしれません。

本の内容は、わかりやすく書かれていることもあり、頭で理解するにはさほど難しくないように思います。

ただ実践になると、実際の対人関係がかかわるので、文字通りある程度の勇気が必要です。

 

ところで本のタイトル、『嫌われる勇気』とは、自分自身が自由になるために必要な勇気。

哲人いわく、「自由とは、他者から嫌われることである」と青年に諭します。

青年はその言葉にすっかりうろたえてしまうのですが、哲人は、

もし、わたしの前に「あらゆる人から好かれる人生」と「自分のことを嫌っている人がいる人生」があったとして、どちらか一方を選べといわれたとしましょう。

わたしなら、迷わず後者を選びます。他者にどう思われるかよりも先に、自分がどうあるかを貫きたい。つまり、自由に生きたいのです。(164ページより)

青年が「嫌われる勇気」を持ちえたとき、対人関係は一気に軽いものへと変わるだろう、とのことでした。

 

またアドラー心理学は「トラウマの存在」を全否定し、これまでの人生になにがあったとしても、今後の人生には何の影響も及ぼさない、としています。

これは冒頭のアドラーの言葉、「人はいま、この瞬間から幸せになることができる」 につながるのですが、かなり救われる言葉です。



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まとめ

この本を読んでいて、思い出した一冊の本があります。

それは、デール・カーネギーの『道は開ける 』。

デール・カーネギーもアドラーに影響を受けたとありますのでこれは自然な連想かもしれません。

 

デール・カーネギーの有名な本は『人を動かす』ですが、『道は開ける』は、悩みを持つ人を対象にした本になります。

わたしは20代で悩みまくっていた時、この本に救われたことが何度かありました。

要は、気持ちの切り替え方を教えてくれるのですが、悩みに関しては『嫌われる勇気』より、『道は開ける』の方が即効性があると思います。

 

『道は開ける』の章で『嫌われる勇気』に似ている章は、「今日、一日の区切りで生きよ」や「二週間でうつ病をなおすには」あたり。

他にも使えるテクニックがたくさんありますので、悩みをおさえきれない方は『道は開ける』もぜひ読んでみてください。

 

余談になりますが、わたしの中では原点という意味で、ジェームズ・アレンもアルフレッド・アドラーと存在感が似ています。

ジェームズ・アレンの著作 は、自己啓発書のルーツとも言われていて、デール・カーネギー、オグ・マンディーノをはじめ、現代成功哲学の祖たち多くに影響を与えています。

ジェームズ・アレンの思想は、「現実がうまくいかないのは環境のせいではなく、全て悪しき思いのせい」。

こちらは心や気持ちのコントロールになるので、アレンとアドラー、両方のいいとこ取りをすればいいのかもしれません。