【青山繁晴】新書『壊れた地球儀の直し方』 感想と内容

青山繁晴 壊れた地球儀の直し方


 

青山繁晴氏の最新作、『壊れた地球儀の直し方』(扶桑社新書)は新書版にしては異例の厚さ(2cm以上)の本です。

私はてっきり全て書き下ろしだと思っていたのですが、この本は2004年発行の『日本国民が決断する日』を新書版として改題、一部書き下ろしたものとのこと。

2004年といえば小泉政権時代です。

昔の情報だと思い少しがっかりしましたが、読んでみると必要あって出版された本ということがわかりました。

 

改題といえども青山氏が全て目を通しており、現在の視点からの注記もところどころに入っています。

この10年で世界情勢が大きく変わっているので、それまでの復習と考えれば貴重な教科書になると思いました。

以下に、この本の概要や勉強になったことなどを書いてみたいと思います。



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青山繁晴著『壊れた地球儀の直し方』について

本の概要

全16章が5部構成で書かれています。

それぞれ、2004年版の「まえがき」と「あとがき」があり、全体を挟むように新書版の「まえがき」と「あとがき」が入っています。

第一部は著者のイラク現地取材を元に構成、第二部はアメリカの世界戦略の転向とアジアの将来について、第三部は米朝戦争のシュミレーションを中心に北朝鮮政府の思惑を検証、第四部は真実の日米関係について、第五部は日本の現代政治の果たしたことを検証し、日本のもつ不思議な力について書かれています。

一番面白いと思ったのは第5部で、勉強会などでよくでる質問を中心に、「紙上勉強会」と名づけてQ&A方式でまとめられています。

以下に、第5部の中で勉強になったことなどを書き出したいと思います。

 

平和ボケ

青山氏は、「本当に平和だから日本人は呆けたのでしょうか」、と問います。

スウェーデンやスイスは戦争はしないが自国をしっかりと軍が守っていることを例に出し、

実は、日本国民は平和だから呆けたのじゃない。他人任せにしたから、呆けたのです。(358ページより)

と話します。もちろん他人=アメリカです。

 

警察と自衛隊

警察庁は国家警察じゃないんです。警察法によれば、警察庁は各自治体の警察を調整する権限を持っているだけです。(中略)

もしも警察庁が国家警察なら、直轄部隊を持っていますが、持っていません。ですからSAT(特殊急襲部隊)も自治体に属しています。警視庁のSAT、大阪府警のSAT、愛知県警のSAT、みな同じです。

国家の直轄部隊がないから、日本の警察は昔から広域犯罪に弱いし、今は外国人犯罪、あるいはテロ防護に弱点を持っています。(362ページより)

全ての先進国には国家警察はあるそうですが、なぜ日本にはないのでしょうか。

それは戦前に特高警察という国家警察があったからだと青山氏は述べています。

罪を全部国家警察にかぶせて、戦後は国家警察がないから正しい社会だと、自分を誤魔化してきたことに問題があるとのこと。

そしてそれは自衛隊も同じだと。

 

自衛隊は軍隊だという声がありますが、青山氏は軍隊ではないと言い切ります。

戦力としての陸海空軍が実在しているのは事実ですが、「軍」の根っこである軍法会議がないからです。

わたしたちは愛する者、そして自らの命を守るために、警察よりも格段に発達した武力組織を持たざるを得ません。それがすなわち「軍隊」です。

軍は、正当にしてあくまで防衛的な理由があるときは、市民生活では決して許されない破壊や殺害の行為をやむを得ず行わなければなりません。

だからこそ、その軍隊をきちんとコントロールするためにこそ、ふつうの市民社会と違うルールが軍隊には存在しなければならないのです。(366ページより)

それがすなわち「軍法会議」なのですが、今まで警察や自衛隊のこの部分を全く意識してなかったので、とても勉強になりました。



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日本国憲法について

著者が日本の病根の一つとあげる日本国憲法第65条の問題。

日本国憲法といえば第9条が真っ先に頭に浮かびますが、第65条には、

「行政権は、内閣に属する」

と書いてあります。

日本国憲法
第六十五条 行政権は、内閣に属する。
※引用:ウィキペディア/日本国憲法第65条

最終責任が、ただ一点に、具体的にはただ一人の人間に属することを定めていません。

このため決断の責任は、内閣総理大臣ではなく「みんなで話し合う」閣議にあることになり、その閣議は「全員一致」でないと物事を決められない取り決めになっていますから、最高責任が曖昧に散らされてしまっているのです。(461ページより)

たとえばアメリカ合衆国憲法では「行政権は大統領に属する」と明記されています。

世界の国々にとってトップとは決定者のことであり、日本の総理はトップでありながら調整者にすぎません。

著者は、憲法第65条を「行政権は、内閣総理大臣に属する」と改正できるかどうか、それが日本の運命を左右していくと考えています。

 

まとめ

著者は『ザ・ボイス そこまで言うか!』(ニッポン放送)の木曜日担当でも人気ですよね。

私もこの放送で青山氏のコメンテーターぶりを聞いてやみつきになり、今では毎週楽しみにしている口です。

今回の本は12年前の著書がベースです。

あの頃よりも表面上は大分変わっているようにも見えますが、根っこの部分はあまり変わってないんだなとあらためて思いました。

本の語り口は、ザ・ボイスの勢いそのままと言った感じで読んでいて気持ち良かったです。

著者の次の本を楽しみにしています。

 









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