「世界から猫が消えたなら」あらすじ・感想・主題歌(映画)について

川村元気 世界から猫が消えたなら


 

現在ロードショー中の『せか猫』こと『世界から猫が消えたなら』 。

この映画は2016年5月14日から上映されているのですが、素人目に見ても大ヒット間違いないはず。

それはこの小説を書いたのが、映画プロデューサーの川村元気さんだからです。

川村さんが企画・プロデュースした映画は全て、ヒット・大ヒットを連発し続けています。

そしてもう一つは主題歌がとても素敵なんです。

 

今回は映画よりも先に原作本を読みましたので、そちらのあらすじや感想、小説の背景などを書いていきます。

その後、映画についても主題歌や内容、そして『せか猫』のその他情報についても簡単にまとめられればと思います。



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書籍『世界から猫が消えたなら』について

それでは本の方の『世界から猫が消えたなら』について書いていきます。

原作を読んだきっかけ

原作を読んだきっかけは、原作者の川村元気さんが、先日ラジオ(FM)に出演されていたことから始まります。

そこで川村さんは、今上映中の『世界から猫が消えたなら』について話されていました。

ながらで聞いていたため全部は聞けていませんが、映画をついつい見たくなるような興味ある語り口でした。

特にその中で私が興味を持ってしまったのは、書籍ではなく映画主題歌の話。

後でも少し書きますが、歌っている女性シンガーの才能がとてもすごいとのことでした。

それはさておき、このラジオをきっかけに原作を読んでみようと思った次第です。

 

あらすじ

郵便配達員として働く三十歳の僕。ちょっと映画オタク。猫とふたり暮らし。

そんな僕がある日突然、脳腫瘍で余命わずかであることを宣告される。絶望的な気分で家に帰ってくると、自分とまったく同じ姿をした男が待っていた。

その男は自分が悪魔だと言い、「この世界から何かを消 す。その代わりにあなたは一日だけ命を得る」という奇妙な取引を持ちかけてきた。

僕は生きるために、消すことを決めた。電話、映画、時計…僕の命と引き換えに、世界からモノが消えていく。僕と猫と陽気な悪魔の七日間が始まった。

※引用:Amazon『世界から猫が消えたなら』

 

上記あらすじの補足ですが、消すもの(電話や映画など)に関してはルールがあって、主人公の”僕”には決めることが出来ず、全部悪魔からの指示になるんです。

そして悪魔から指示されるものは”僕”にとってかなり重要なものばかり。

でも”僕” は、全ては命あってのものだと考え、葛藤しながらも悪魔の指示に従います。

電話、映画、時計。。

”僕”にとってこれらははじめ、重要なものだという意識が希薄でした。

でもそれらが消される前に、悪魔から一度だけそれらを使うことを許されるんです。

そこで”僕”は、誰に最後の電話をかけたらいいのか、また最後に見る映画は何がふさわしいのか、

それらを決めようとすると、それにまつわる大切な記憶にアクセスしなければならず、実際に行動しながらその答えを見つけようとします。

 

このように”僕”は消すことを通じて、今まで目をつぶってきた過去を直視する状況に追い込まれます。

いくつか消してしまったあと、ついに悪魔から「猫」を消すことを提案されるんです。

”僕” にとって「猫」の意味はどれほどのものがあるのでしょうか。

母や愛猫の死、父との不仲、そして7年前に別れて再開した彼女とのことなど、

今まで”僕” が避けてきた問題が、物語が終わりになるにつれて”僕”の中で変化していきます。

 

私ごとですが、終盤近くで結末を予想しながら読み進めていたのですが、予想はすっかり外れてしまいました。

でも心から良かったと思える終わり方だったので、読後の気持ちはすがすがしかったです。

冒頭に出てきた伏線が最後に回収されてはじめて気づいたり、意外な面白さをあわせ持つ作品でした。



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本の背景

世界から猫が消えたなら』は人気映画プロデューサー川村元気(かわむらげんき)さんの初小説になります。

2012年にこの小説で作家デビューを果たし、2013年にはこの本が本屋大賞にノミネートされ、8位になっています。

ちなみにこの時の大賞は百田尚樹/海賊とよばれた男、2位は横山秀夫/64(ロクヨン)でした。

これまでの本屋大賞
本屋大賞HPより

 

この本の背景については下記の引用も参考になると思います。

かなり時間をかけて作り上げた作品だということがわかります。

著者の川村が、幼い頃に飼っていた猫が突然姿を消した体験と大人になってから携帯電話をなくした体験、それぞれの時に感じたことから着想を得て、構想に約1年、執筆に約半年が費やされた末に完成した。

基本的にはファンタジーであるが、家族のかたちを描いたドキュメンタリーの要素もあり、読者の誰もが“僕”を自分に置き換えて入りこめるようにと川村は自分を主人公に置き換えてひたすらシミュレーションしながら執筆したという。

※引用:フリー百科事典ウィキペディア

 

またこの本は、2016年3月時点で単行本・文庫本の累計部数がすでに100万部を超えており、中国・台湾・韓国でも翻訳されて販売されているそうです。

余談になりますが、川村さんが企画・プロデュースした映画は全てヒットや大ヒットを飛ばしています。

例えば2006年の『電車男』や2010年の『告白』 はかなりの大ヒットになったのは御存知の通り。

その他、2008年『デトロイト・メタル・シティ』、 2010年『悪人』、2011年 『モテキ』はそれぞれ 興行収入 20億円以上のヒットになっています。

 

一番心に残ったシーン

やはり一番印象に残るシーンは、自分の実体験に関わるものになってきますね。

この小説は、てっきり恋愛小説だと思っていましたが、家族とのつながりについて深く考えさせられる小説だったのが意外でした。

それはさておき、私が心にひっかかったところは、主人公の”僕”が自分と父親が「だめ」になった理由を色々と考えるシーン。

「だめ」になった理由はわからないとしながらも、母が病床についたときに、お互いが責任をなすりつけあったことに問題があったのではと回想します。

”僕”は母が体調が悪くなるまで家事を続けていたことをうっすらと知りながら、病院に連れて行きませんでした。

そのくせ父が母に家事を続けさせたことを責め、父は”僕”に病院へ連れて行かなかったことを責めています。(そのことは”僕”が勝手にそう思っているだけなのかもしれませんが)

 

我が家には障害のある子がいるのですが、まるで”僕”の母親が我が子で、”僕”と父親が私たち夫婦のような感じです。

ですので、夫婦間の意思疎通がとても難しい状態。。

小説では、互いに自分の理屈と事情を押し付けたとありますが、私たちの場合も全くその通りなので、結構身につまされるところがありました。

家族は「ある」ものではなく「する」ものだと”僕”は考えますが、この辺りも考えるところが多かったです。

あと、母親が”僕”に当てた手紙の中で、”僕”のいいところを10個書いているのですが、そういうことを考えたことがなかったので、私も一度試してみようかなと思いました。

 

感想

全般的な感想は、とても丁寧に作りこまれている小説、という印象を受けました。

いろんな伏線が最後に向かうにつれて気持よくつながっていきますし、

読む時間はあまりかからない小説ですが、7日間の話ということもあってか展開のスピード感を感じます。

この小説を読んでいると、自分にとって本当に大切なものは、死としっかりと向き合わないと見つけることが難しいのかな、とも思います。

悟る前の”僕”の状況はあまりいいものとはいえないのですが、それは”僕”のエゴによるものが大きかったことがなんとなくわかります。

小説では”僕”のエゴを無くすために悪魔が一役かっています。

ひょっとして自分にとって本当に大切なことは、後が無い生を意識し、その時間内で答えを出さなくてはならないシチュエーションでないとわからないのかも。。

自ら甘えに気づいても、頼る人やものがあれば言い訳してでも甘えてしまうのが人の常だと思います。

この辺り、本当に頭が痛いですね。

ところで小説の猫(キャベツ)は最後にとても大きな役割を担うことになりますが、映画はどのような展開になっているのか非常に気になるところです。



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映画『世界から猫が消えたなら 』について

こちらでは映画板『せか猫』について書いてみたいと思います。

主題歌について

先日のラジオ番組で川村元気さんが出演していたのですが、映画の主題歌がとても良いとのこと。

主題歌を歌っているのは、新人女性シンガーのHARUHIさん。

聞くところによると、2年前から主題歌『ひずみ』を何度かレコーディングしているとのこと。

Youtubeの公式動画で主題歌が配信されていますのでまだの方はぜひ^^

 

今までに聞いたことのないような不思議な歌声です。

強いて言えばsalyuに少し似ているかも。。
※私はプラットフォームが一番好きです

これを川村さんは絶賛されてたんですね。

ところでHARUHIさんはアメリカ生まれの17歳。

どちらかというと英語のほうが得意らしいのですが、2年前のレコーディング時は日本語をなまって歌っていたそうです。

今回配信の主題歌ではそんなことはありませんよね。

HARUHIさんは、今月にCDデビューも果たしましたので今後の活躍が楽しみです。

 

下記リンク先がHARUHIさんの理解を深めると思います。

映画『世界から猫が消えたなら』 HARUHI×川村元気 スペシャル対談

HARUHI「ひずみ」インタビュー 音楽ナタリー Power Push

HARUHI OFFICIAL WEBSITE
※HARUHIさんのオフィシャルサイトです

 

関連情報など

『世界から猫が消えたなら』は5月14日(土)から上映しています。

主演は佐藤健さん、彼女役は宮崎あおいさん。

映画の概要は下記をご参照ください。

2016年5月14日に東宝の配給で公開された。原作者の川村がキャスティングにも携わっている。2014年10月8日に函館でクランクイン。小樽や室蘭、東京都内での撮影を経てアルゼンチンのブエノスアイレスで海外ロケを敢行し、2014年11月22日に世界三大瀑布の1つであるイグアスの滝でクランクアップした。

主題歌「ひずみ」のミュージックビデオは同じく永井が監督を務めた映画のスピンオフとなっており、佐藤演じる“僕”とその飼い猫・キャベツも出演している。

キャスト(映画)
・僕 / 悪魔(2役) – 佐藤健
・彼女 – 宮崎あおい
・ツタヤ – 濱田岳
・奥野瑛太
・石井杏奈
・奥田瑛二
・原田美枝子
※引用:フリー百科事典ウィキペディア

映画『世界から猫が消えたなら』公式サイト

シアターリスト
東宝公式サイトより

 

その他映画の予告編動画も貼っておきますね。

 

私は行けるかどうか微妙なのですが、子供には勧めておきました(汗)
 

『世界から猫が消えたなら』その他情報について

オーディオブックが発売されてます

『せか猫』のオーディオブックが発売されています。(2015年11月13日販売開始)

このオーディオブックは第6回オーディオブックアワードにて2015年の「オーディオブック・オブ・ザ・イヤー」に選ばれたそうです。

11月発売なのにすごいですね。

このオーディオブックはCDで売っているのではなく、ダウンロード形式で販売しているようです。

下記公式サイトではサンプル音声も聴けますよ。

オーディオブック 「世界から猫が消えたなら」公式サイト

 

NHK-FMのラジオドラマで放送されました

2013年7月20日にNHK-FM「FMシアター」で『世界から猫が消えたなら』のラジオドラマが放送されました。

妻夫木聡さんが”僕”と悪魔役を担当しているのですが、ラジオドラマ初挑戦だったそうです。

ラジオドラマキャスト
・僕 / 悪魔(2役) – 妻夫木聡
・貫地谷しほり
・國村隼、大沢逸美、木戸衣吹、達淳一
※引用:フリー百科事典ウィキペディア

 

まとめ

川村元気さんの初小説『世界から猫が消えたなら』は、私自身とても共感することができました。

運命は絶望的でも魂は必ずしもそうではない結末に”僕”と同様、私も救われました。

川村さんの次作に期待しながら、まだ見てない映画も楽しみにしています。

最後に、この小説で一番心強く感じた箇所を、下記に引用して終わります。

自分らしく生きるはずが、生きられなかった人生。ついぞ自分らしさをみつけることができなかった人生。

~中略~

でもそれでいいんだ。僕はいまの自分でいいと思える。ここではないどこか、ではなく、ここにいてよかったといまは思える。

※引用:川村元気著/世界から猫が消えたなら