最近、臨死体験の本を読んで「死」についてもっと知りたいと思いました。
そこで次は医療関係者が書いた本で、比較的人気のある『人は死なない』(矢作直樹著)を読みました。
副題は「ある臨床医による摂理と霊性をめぐる施思索」
この本が出版された2011年当時、著者はER医師でした。
著者は2001年に、東京大学大学院医学系研究科救急医学分野教授および医学部附属病院救急部・集中治療部部長に就任し、2016年3月に任期満了で退官しています。
ちなみにこの本は、アマゾンの「死生観」カテゴリではいまだランキング1位が続いています。
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本の概要と感想
内容はネタバレになるので書けませんが、著者の母にまつわる不思議な体験や、担当患者の説明できない行動や体験が、本の半ばで語られています。
怖い話に慣れている方には、とくに目新しい話は無いかもしれません。
どちらかというと体験的な話よりも、死後の世界の知識や研究の説明、著者の死生観に対する考え方が多く掲載されています。
このため少々難しく感じるかもしれませんが、医師がオカルト的なことを書いた本はあまりないと思いますので、その意味では大変貴重な本だと思います。
全体的に医者という立場のため、かなりおさえて書かれているような気がします。
本の感想
今は自死よりも孤独死が多いらしく、そのこともあり、著者は母親が孤独死したときのことを、警察の対応を含めてこと細かく書いています。
私も高齢の両親が離れたところに住んでいるので、この話には身につまされました。
その後の不思議な体験も、医師の立場で客観的に語られていますので内容に説得力がありました。
著者は霊的現象については科学的に証明する必要はないと考えています。
(欧米の近代スピリチュアリズムは霊を科学的に証明しようとしている)
その理由は、そもそも摂理や霊魂の概念は、自然科学の領域とは次元を異にするためだそう。
要は、霊的現象それ自体に意味があるのではなく、そうした現象の見聞や体験を通して受ける啓示、あるいは導き出される理念、真理こそが本質であると私は考えています。(197ページより)
まとめ
この本は、怖い話目的の方には向かない本ですが、霊を含めた死について、客観的に考えることのできる本だと思います。
この書籍は2011年発売ですが、矢作氏はその後も数冊出版されているので、別の本も折を見て読んでみたいと思いました。