【発達障害】子供への接し方がわかる本『魔法の言葉かけ』感想

発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉かけ


 

ABA(応用行動分析)がよくわからず、今回『発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉かけ 』(shizu著・平岩幹男監修、講談社)を読んでみました。

障害がある子どもとのコミュニケーションで一番悩むのは、やはり会話ではないでしょうか。

私ごとですが子ども2人に障害があり、2人とも発達障害に関わる障害なので、言葉はとても重要なのだと常々感じている毎日です。

 

著者はお子様が3歳の時に自閉症と診断されました。

きっかけは、子どもに話しかけても目を合わさない、反応がないという状態が続き、診察を受けたそうです。

著者はその後、インターネットで療育の情報を集め、その中からABA(応用行動分析)という療育法にたどり着き、実践してみたとのこと。

その結果、お子様は数値上では自閉症ではない範囲までに発達したとのことでした。

 

にわかには信じられない話ですが、想像を超える努力をひたすらされた結果なのだろうと思います。

ありがたいことに、私たちは著者が実際に試行錯誤して編み出された療育方法を本書で学ぶことが可能です。

嬉しいことですよね!

 

ところで、NHKの「あさイチ」では今までにも何度か発達障害を特集しているのですが、先日6月22日にはABAが取り上げられたと、著者・shizuさんのブログに書いてありました。

⇛ 発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉かけ6月22日NHKあさイチで、「発達障害」「ABA」について特集放送

ABAについてはまだ日本版ウィキペディアに掲載されてないので、まだまだ認知度が低いように思います。こちらについても著者のブログがとても参考になりました。

⇛ ABA(応用行動分析)とは?

 

ところでこの「あさイチ」、私は見てなかったので見られた方がうらやましいです。。

こちらでは『魔法の言葉かけ』を読んで感じたことなどを書いてみたいと思います。



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一番実践したい療育

実践したい療育はいくつかあったのですが、「目合わせ遊び」が息子に使えるかなと思いました。

発達障害を抱える子どものなかには目を合わせるのが苦手な子が少なくありません。でも、人と目を合わせることはコミュニケーションの第一歩。社会性を高める上でもとても大切な人との関わりです。(63ページより)

 

本書では3つの工夫が紹介されてました。

①おもちゃは目を合わせて渡す
まずおもちゃやお菓子を「どうぞ」と渡すときにはすぐに渡さず、子どもが目を合わせてくれるまで待つそうです。目を合わさない時は、自分の目の近くに持って行くと子どもが自然に目を向けてくれるようになるとのこと。

②子どもの近くで名前を呼ぶ
子どもの名前を呼びかけながら子どもの顔を見ます。目が合ったらすぐ、「見てくれた~!」などといって抱きしめてほめるとのことです。はじめは近くから、うまくいったらだんだん距離を伸ばして声かけをしていきます。

③自然に目が合うまで待つ
子どもの顔を見つめながら自然に目が合うまで待ちます。声はかけません。目を合わせてくれたら②のように大げさにほめてくすぐったりします。これを何度も繰り返し、目を合わせることで相手が喜ぶことを教えるそうです。

 

ワンポイントアドバイスとして、目を合わせてくれない子には頬に軽く手を添えてゆっくり誘導するそうです。

それでもダメだったら自分の目と目の間を指さして「目、見て~」などと声をかけるのも有効とのこと。

うちの子はかなり手ごわいので、結構手こずるかもしれません。。



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その他印象に残ったところ

イントラバーバルとは?

初めて聞いた言葉で「イントラバーバル」(会話を続ける力)がありました。

イントラバーバルとは、「むかしむかし」という言葉かけに対して、「あるところに」と続けるような、言語刺激に対する反応のことです。

これを応用して、例えば「赤信号は?」「止まれ」、「好きな色は?」「みどり」のように、言葉の刺激によって次に続く言葉を導き出すことは、会話を続ける能力を高めるのに有効な練習法でもあります。(76ページより)

本書では、靴をそろえさせる言葉がけを例に、対処法を紹介してました。

 

効果的なタイムアウトの3パターンとは?

タイムアウトとは、子どもが許しがたい行為をしたときに与えるインターバル的な罰のようなものです。

お互い感情的になっているので、少し距離をおいてクールダウンするのが主な目的。

昔は押入れとか物置に閉じ込める方法がよく聞くところでしたが、発達障害がある子はパニックを起こすことがあるのでこれはダメ。

ただ暴れる子の場合、ほっておくと逆に危ないので(息子もそうですが…)その対処法も書かれていてありがたかったです。

 

効果的なタイムアウトの3パターンは、

①別室に連れて行きクールダウン
文字通り、子どもを別室で一人にさせ、落ち着いたら抱きしめて落ち着いたことを褒める。

②子どもと離れて親がクールダウン
子どもを叩きそうになったら、親がトイレなどに入ってクールダウン。体罰はエスカレートする可能性もあるので親が冷静になる時間がまず必要です。

③子どもの肘をそっと押さえる
これは一人にできないほど暴れた時の対処法で、

子どもの背後に回り、子どもの肘をそっと押さえます。抵抗が強い場合は、子どもを床にうつぶせにして、やはり肘をそっと押さえましょう。

正面から押さえようとすると、蹴られたり、目が合ったりします。怒りに燃えた子どもの目を見ると親も感情的になりやすいため、このタイムアウトは、背後から冷静に行うのがポイントです。(99ページより)

③が一番難しそうですね。。

うちの子の場合、暴れたときはやはり手こずります。

家内のメガネを2回も壊したり、物をほおりなげたり、両腕を掻きむしって傷だらけにしてくれたり…。

「怒りに燃えた子どもの目を見ると…」の下りはよくわかります。私もそれで強くおしりを叩いてしまったことが何度かありましたので。。

 

悪いことに大きくなればなるほど力も強くなるので、暴れ出したら恐怖が先立つこともあるくらいです。

後ろから肘というのはまだちょっとイメージできませんが、今度やってみようと思います。

 

散歩をしてみる

発達障害を抱える子どもの親は、子どもが外でかんしゃくなどの問題行動を起こしたら、周囲からどう見られるだろうと他人の目が気になり、家にこもりがちになる傾向があります。

でも、子どもを外に連れ出すことは、さまざまな経験を通して言葉をかけたり、体を動かして脳の発達を促すチャンスなのです。

家の周りを歩くだけでも、言葉かけのきっかけとなる多くの刺激を受けることができます。(116ページより)

この章では、子どもを長く歩かせるコツなどが書かれています。

わが子の場合、体温調節がうまく出来ないので夏や冬はなかなか外で遊ぶことが出来ません。

だからドライブ時間が多くなるのですが、何かしら工夫して外と触れ合う機会をもっと多くとってやらなければと思いました。



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感想&まとめ

本書は全体的にわかりやすくまとまっていて、とても読みやすい本でした。

監修が小児専門医の平岩幹男先生なので、ABAを初めて学んだのですが信頼しながら本書を読み切ることができると思います。

たとえ発達障害がある子の親でなくても、子育てする上で参考になる部分がとても多く、得能史子さんのまんがには時にじーんとなることが多かったです。

 

障害がある子は、多分人知れず泣いていることが多いと思うのですが、特に子どもが泣いている絵を見るとこちらも泣けてきます。

本書ではいじめや兄弟への影響についても最後の章に書かれていましたが、障害がある子の兄弟姉妹はとても大変だと思います。

 

上の子がそうだったのですが(上の子は上の子で大分後から障害が見つかりました)、弟がダウン症であることをクラスで茶化されいじめられた時にはかなり悩んでいた様子でした。

それまでいじめのことは全く親に話していなかったのに、それだけは心におさまらなかったようで、私たちがそのことを聞いて、大分前からいじめられていたことがわかり、結局不登校→転校の道をたどりました。

 

精神的な障害がある子は人との距離がわからないところがあり、どこへいってもいじめられる傾向にあると思います。

私たち親も学校と掛けあったり、教育委員会に相談したりしましたが、根本的な解決には至りませんでした。

 

上の子はその後しばらくしてとうとう目に見える形で発症してしまいました。

診断によると先天的だったとのことですが、親がもっと早く気づいてやっていれば、治らないまでももっとましな中学高校生活が送れたのにと、自分の能力のなさと戻ってこない時間に、今もかなり後悔しています。

 

私ごとばかり書いてしまいましたが、障害児のいる家族の子は、親への愛情不足もそうですが、さまざまな葛藤を抱えて大きくなっていると思います。

そういうことも時に忘れ、子どもに対してついきつく対処してしまうことがありますが、親が変わらなければ子どもも変われないという著者の実体験からの言葉にとても共感を覚えました。

本書を今後の育児に活かしていきたいと思います。