『情報を活かす力』(池上彰著・PHPビジネス新書)は、ここ最近で一番影響を受けた本。
筆記用具やメモの使い方など、具体的で活かせる点も多く、とても参考になりました。
一番刺さったのは「アウトプットを意識してインプットする」。
今まで意識してインプットしていなかったので、目の前が開けたように思いました。
池上氏の解説がなぜわかりやすいのか、著者自身は「NHK週刊こどもニュース」の影響だと述べています。
著者自身アナログ派だそうですが、どのようにして大量の情報を生きた情報に変えているのか。
その部分が特に読み応えがありました。
今、情報に溺れている人は、本書により救われるかもしれません。
本書の概要
テレビ番組のニュース解説、新聞・雑誌連載や書籍の執筆、大学での講義……多方面で活躍し、超多忙な著者。
自宅に届く新聞7紙の読み方から、記事のスク ラップ法、書店での本の探し方、ネット情報との接し方、話の聞き出し方、わかりやすい説明のコツまで、その情報収集・整理・活用術を一挙公開。
「情報の 海」で溺れることなく、情報を自らの糧にしていくためのヒント満載。
※『池上彰の情報力』を改題し、全面改訂・新書化。
●序章 情報活用力をいかに高めるか
●第1章 私の情報収集術
●第2章 私の取材・インタビュー術
●第3章 私の情報整理術
●第4章 私の読書術
●第5章 私のニュースの読み解き方
●第6章 私の情報発信術※引用:Amazon『情報を活かす力』より
本書は2004年に発売された『池上彰の情報力』を全面改訂して新書化したものです。
『池上彰の情報力』は読んでいませんが、本書を読んだ感想では古さは全く感じません。
もちろん全面改訂しているからだと思いますが、印象としては目次を見ても分かる通り、情報に関するノウハウがバランスよく網羅されていて、260ページ全てに充実感を感じました。
特に第2章では、記者として警察官に聞きこみを行った経験談が書いてあるのですが、相手から情報を引き出すための様々な工夫は、そのままビジネスにも応用できそうです。
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誰かに説明するつもりで情報収集する
インターネットでニュースを見ていると、自分としてはなんとなくわかった気になることがありませんか。
でも誰かに伝える必要があった時、また質問を返された時に、はじめて自分が理解できていないことがわかります。
著者は、「わかった気になる」危険性は、スマホなどで便利になった反面、より高まっていると指摘します。
何かを深く理解し、それを使える情報にするためには、いったい何をすればよいのでしょうか。
その最大の秘訣は、「アウトプットを意識してインプットする」こと、もう少し具体的に言うと、「誰かに説明することを想定して情報収集をしていく」ということです。
「誰か」はそのことに詳しくない人であれば誰でも構いません。(20ページより)
本でも何でもインプットというのは、誰かに説明(=アウトプット)しようとして初めて、自分の頭の中で整理されて身になるものなのです。(21ページより)
「自分の頭で考える時間」を意図的に作る
アウトプットを意識してインプットしても、伝え方がまずければ人はよい反応を返してくれません。
どうすれば伝え方がうまくなるのかについて著者は、どのように伝えるか「考える時間」を意識的に増やすことだと指摘しています。
ふと空き時間ができたとき、何をしていますか。インターネットやスマホをチェックという人が多いのではないでしょうか。(中略)
ただ気をつけないといけないなと思っているのは、意識しないと「自分の頭で考える時間」がどんどん減ってしまうということなのです。(30ページより)
普段「考える時間」を取っていないことを実感できるくだりです。
池上氏はこの問題に対して、「デジタル・デトックス」をすすめています。
「デジタル・デトックス」とは一定期間、インターネットに繋がるデジタル機器をあえて使わないようにすること。
たしかに振り返ってみると、パソコンやスマホが普及する前は、もっと自分で色々と考えていたように思います。
少し違うかもしれませんが、カーナビを付ける前は遠出するときには事前に地図を読み込んで現地のイメージをいろいろ考えたものでした。
今はそれをしないからか、お出かけが終わった後の充実感が以前より薄れているように思います。
便利になる反面、失うものが多いのかなと実感しました。
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池上彰氏の筆記用具
著者の筆記用具が書いてありましたのでメモしておきます。
池上氏は基本的に筆記用具を3種持ち歩くそうで、その3種は下記になります。
・速記用の0.9mmシャープペンシル(2B)
・サインペン
・1.6mmのボールペン
特にシャープペンシルは200円程度とのことなので、私も使っているプレスマンなのかなと想像しています。
たしかにこの0.9mmで2Bの芯は書きやすく、一度使ったらやみつきになるかもしれません。
私ごとですが、このシャープペンに相性が良いのはA4のコピー用紙だと勝手に決めています(汗)。
著者はA4コピー用紙の裏紙をアイデア用に使っており、本に挟む「しおり」も同用紙の四つ折りを使うことで、思いついたことをすぐメモれるようにしているそうです。
私はメモは大きめの付箋にしていたので、著者と同じくA4四つ折りに変えました。
スマートフォンや携帯電話にもメモ機能はありますが、私はほとんど使いません。キーボード入力では発想が広がらないからです。(131ページより)
アイデアを広げるためには、スペースが必要です。小さいメモ帳よりも、A4の裏紙のほうが都合がいいのです。
思いついたそのときに、手を動かして書く。私は、デジタルよりもアナログ派です。(132ページより)
まとめ
著者は新聞を読む大切さについて、かなりページを割いています。
新聞での情報収集をメインにされている人は必読の本だと思いました。
著者が定期購読している新聞や雑誌、よく見ているウェブなどの情報ソースが多く書かれていますが、新聞も本も全て読まなくてOKとのことで救われました。
本に関しては、まえがき、あとがきを読むだけでも情報が得られるし、背表紙を見るだけでもアイディアが沸くので「積んどく」でも意義があるとのこと。
こちらには書いていませんが、私は読書好きなので「第4章 私の読書術」から得るものもとても多かったです。
買って損のない本だと思います。