今回は『18歳の著作権入門』(福井健策著・ちくまプリマー新書)を読んでみました。
文字通り、この本は著作権についての入門書なのですが、本書を選んだ理由は、あろうことか、実際に私が著作権侵害のクレームを受けてしまったからなんです。。(こちらのブログではありません^^;)
少し具体的にお話しますが、先日私の運営しているYoutubeチャンネルで、あるサイトのテキスト文を引用したのですが、そのサイトから著作権侵害の申告を受けて、当該動画が消されてしまったというわけです。
よくよく見直すと、引用したサイトには、許可無く転載等を禁止する旨の一文が書かれてありました。非常にうっかりしてました。。
著作権侵害で動画を消されたことは、今回のケースとは異なりますが、大分前にも一度経験がありました。その時は許してくれたので事なきを得たのですが、今回は許してくれませんでした(汗)
裁判沙汰になるとかお金がかかるとか、そういった心配はありませんが、YouTube側からその動画は強制削除されて、ペナルティが1個ついてしまいます。そしてペナルティが3回たまるとチャンネルが消えてしまうというわけです。
ペナルティは著作権侵害の他にもポリシー違反でもカウントされますので、1回でもついてしまうともう実質リーチなんですね。
私の場合3ヶ月何事もなければそのペナルティは消えるのですが、YouTubeを始めたばかりのときは、瞬殺された経験がありますので、1つでもつくと気持ち的にもう動画のアップはできません。。
無駄話が長くなりましたが、今回、著作権については数冊の本を読んでいたのでわかっているつもりでしたが、意識が低かったために徹底していなかったことに今更ながら気づき、今回一から勉強し直そうと思った次第です。
巷には著作権の本はたくさんありますが、音楽や出版、メディア関連のものも多く、私の範囲はブログや動画といったネット上に関するものが主になるので、比較的最近出版された中で良さそうな本を探したら今回の本にたどり着きました。
「18歳の著作権入門」は著作権とは何なのかを知るにはとても良い入門書だと思いますし、特にブログを運営している人にとってはとても参考になる本だと思います。
それではこの本について学んだことなどを、以下に少しだけまとめてみたいと思います。
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本書の内容と構成
<内容紹介>
コピペも、ダウンロードも、ツイプロも!デジタル文化をより深く理解し楽しむために学びたい。子どもから大人まですべての現代人必読の著作権入門。※「BOOK」データベースより
基礎的な知識からデジタル化が揺さぶる創作と著作権の現況まで。著作権を考えることは未来を創造すること!おとなになる前に読みたい、教養としての著作権の話。※著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
福井 健策
弁護士・ニューヨーク州弁護士。1991年東京大学法学部卒業。米国コロンビア大学法学修士課程修了(セゾン文化財団スカラシップ)。骨董通り法律事務所代表パートナー、日本大学芸術学部客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)<目次>
◆第1部 基礎知識編(「著作物」って何?―まずはイメージをつかもう
著作物ではない情報(1)―ありふれた表現や社会的事件は?
著作物ではない情報(2)―アイディア、実用品は?
著作物ってどんな権利?―著作権侵害だと何が起きるのか
著作物を持つのは誰か?―バンドの曲は誰のもの? ほか)◆第2部 応用編(ソーシャルメディアと著作物―つぶやきに気をつけろ!
動画サイトの楽しみ方―違法動画を見てよい?「歌ってみた」は?
JASRACと音楽利用のオキテ
作品を広めるしくみ―噂の「CCマーク」を使ってみる
青空文庫を知っていますか?―著作権には期間がある ほか)
本書は、208ページの新書です。
構成は大きく2つに別れており、最初は「基礎知識編」、後半は「応用編」になります。
特に基礎知識編では、著作権は何なのかに始まり、著作権の範囲、どこまで似れば盗作になるのか、また、引用の条件についてなどとても参考になりました。
応用編ではツイッターなどのつぶやきはどうなのか、海賊版について、著作権の期間などが取り上げられており、ネットビジネスに携わる著作権初心者にはとても勉強になる一冊だと感じました。
勉強になったところ
私が一番勉強になったところは、著作権とそうでないものを区別するためにの5つの項目と、引用に関する6つのルールでした。以下、簡単にまとめてみたいと思います。
著作権にあたらない情報
まずは著作権に該当しないものについてまとめたいと思います。
<著作権にあたらない情報>
①ありふれた・定石的な表現
②事実・データ
③アイディア・着想
④題名・名称
⑤実用品のデザイン
②については、例えばノンフィクション小説に沿って作られたTV番組や小説、漫画を作るとトラブルになりやすいそうです。
ノンフィクション作家は事実にもとづいて執筆するのですが、どこまでが事実、どこまでが著作物の範囲になるのかで揉めやすいとのこと。
実際に著者が携わった事例では、ノンフィクション作家の著作を漫画にしたことで、漫画側が著作権侵害で訴えられたのですが、その時はノンフィクション作家側が敗訴したとのことでした。
ただ勘違いしてはいけないのが、使っていいのはあくまで生の事実やデータであって、例えばそれを報じた雑誌記事の文章全体は著作物なのだそうです。(23ページより)
以上は、ブログで時事ニュースの記事を作る際に、勘違いしやすいところなので、今後一層気をつけようと思いました。
引用の6つの注意点
ブログを運営していて一番お世話になっているのは「引用」ではないでしょうか。この引用に関してのトラブルが、ネット上では最も多いそうです。以下に引用に関する6つの注意点をまとめてみます。
<引用の6つの注意点>
①未公表の著作物は引用できない
②自分の作品との明瞭区別
③自分の作品がメイン(=主従関係)
④自分の作品との関連性
⑤改変は禁止
⑥出典の明記
(83ページより引用)
特にブログで関係するのは、②以降でしょうか。
これについても、どこまでという線がきっちり引けない項目もありますので判断が難しいところですが、出来ることは、可能な限り著作物の扱いには気をつけて、万一クレームが付けば修正または削除していくスタンスになると思っています。
まとめ
「18歳の著作権入門」では、その他にも興味ある内容がたくさん書かれていますので、とても勉強になりました。話のネタにもなると思いますのでおすすめです。
面白いところでは、スケートの羽生選手が大好きな「くまのプーさん」の著作権が来年で切れるのですが、著者が予想しているのは、その時、各出版社がプーさんの新訳書籍をこぞって出してくるのではないかとのこと。
ただ、星の王子さまの時と違って、プーさんの挿絵は著者と別人なので、挿絵の著作権はまだ切れないらしく、その為、変な?プーさんが数多く出回るかもしれないそうです。
今回は著作権について勉強してみましたが、私自身がブログを運営するにあたり、この引用に大分助けられていますし、引用があるゆえ、比較的わかりやすいものになっているとも思います。
著作権については私自身、最初は得体が知れず怖いイメージがあったのですが、勉強してみると思ったほど難しくはなく、知れば怖さも無くなりますので、より健全なブログ運営が可能になりました。
これからインターネットの充実ぶりはますます向上していくと思いますので、著作権がネックになってブログなどによる情報発信を躊躇されている人にとっては、本書は最適な入門書になると思います。