アドラー心理学の『嫌われる勇気』はずっとベストセラー独走中ですが、2番目に目立つ本として『結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる 』(藤由達藏著・青春出版社)をあげる方も多いのではないでしょうか。
今回、『すぐやる人~』を読んでみて、長きにわたってベストセラー入りする理由がわかりました。
書いてあることは単純明快ですが、実践しながら自分が成長していくイメージが湧いてきます。
具体的な手法や瞑想方法も説明されてますので、読んでいて講習でも受けているような感覚になりました。
似たような本はすでに多く出回っており、手法的にもかぶる本はいくつもあると思います。
その中でも、本書のようなベストセラー本は、核となる部分と切り口の独創性が素晴らしいと感じます。
本書はただノウハウを寄せ集めたものではなく、独自に作り上げてきたことが伝わってくるので、読んでいて信頼感が持てました。
まずは本書の内容と構成から見ていきたいと思います。
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『結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる』について
本の内容と構成
「すぐやることの大切さ」を無意識に感じ取っている人が多いにもかかわらず、行動力が大事とわかっていても、なかなか行動できないもの。それはなぜか?
理由は、人間の心にブレーキをかけ行動力を下げてしまう3つの「不安」を感じてしまうから。口だけでなかなか行動できない人、考えすぎて行動にうつせない人…
こんな先送り、先延ばしの自分を変えるにはどうしたらいいか?数多くの人々に行動力を高める指導をしている著者の独自のノウハウで、10秒で行動に移す方法と不安を消す方法を紹介する。
補足すると、上記の3つの「不安」は下記3つの「不安」です。
1.過去にとらわれて陥る不安(過去のトラウマによって動けなくなっている状態)
2.未来にとらわれて陥る不安(きっとうまくいかない、と思い込んでいる状態)
3.現在にとらわれて陥る不安(現在起きていることのある一部分のことが、あたかもすべてであるかのように錯覚している状態 )
すぐに行動に移せない人は、上記の不安でフリーズ(思考停止)する共通点があるのですが、まずはこれらの認識が大事とのこと。
下記は本書の目次です。
はじめに
第1章 すぐに行動出来ない人の10の習慣(知る)
第2章 10秒で行動する人の思考法(学ぶ)
第3章 行動する人になる10秒マインドチェンジ(自分を変える)
第4章 結果につながる!周りを巻き込む10秒チェンジ(周りを変える)
第5章 10秒でゴールに近づく思考と行動のコツ(人生を変える)
おわりに
各章最後の( )内にある通り、章を追うごとにステップアップできるように工夫されています。
全体的に素晴らしい気づきが満載なのですが、その中でも特に印象に残った第3章を主に、感想を交えて見ていきたいと思います。
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行動を起こすためにコントロールしなければならないもの
著者は「はじめに」で、成功する人とそうでない人とでは、確実にある違いが存在しているといいます。
それは「すぐに行動に移せるかどうか」です。
チャンスが訪れたときに、すぐに飛び乗れるかどうか。
本気でやりたいことが見つかったときに、すぐに動けるかどうか。
人から勧められたことを、すぐに実行に移せるかどうか。(5ページより)
すべてにおいて「すぐに」が入っていますが、具体的には10秒で決断できるかどうかで人生は大きく左右されるそうです。
本書の売りは、「一瞬で行動に移せるようになるための方法」を紹介していること。
そして行動するために何より大切なのがモチベーションではなく、「気分」なのだそうです。
モチベーションは高いのに行動が伴わないことはままあるらしく、そんなときは気分をコントロールする必要があるとのこと。
この「気分」をリセットしたりコントロールする方法は、第3章に詳しく説明されていますが、この方法を学ぶことにより躊躇なく行動を起こせるようになります。
本書で印象に残ったところ
本書ではやってみたい手法がいくつかありますが、その中で私が初めて知った興味あるテクニックがありました。
それは「朝、言葉をアウトプットする方法」。
アウトプットには外向きと内向きの2種類あるのですが、ここでは内向きのアウトプット。
ブログやSNSでは外向きのアウトプットが盛んですが、そんな時代だからこそ誰にも見せない前提で書く内向きの言葉が貴重なのだそうです。
人目をはばからず書く言葉は、自分の内面を「見える化」することができます。(中略)
とにかく、その瞬間に思いついたことを思いついたまま書き殴るのです。パソコンではなく手書きで行いましょう。できれば、専用のノート、しかも大事にしたくなるような上等なノートがオススメです。(中略)
毎日続けると、自分の感覚に自覚的になり、表現欲求が活性化されていきます。自分は本当はどうありたいか、という感覚にも気づくようになります。(141ページより)
これ、なんかワクワクしませんか?
私は自分と対話していない方だと思うので、「手書きの内向きアウトプット」にグッと惹かれるところがありました。
著者によると、この方法はジュリア・キャメロン著『ずっとやりたかったことを、やりなさい。 』という本にも書かれているそうです。
この本では毎日3ページ書くことになっており、ジュリアはそれを「モーニング・ページ」と名づけているそうです。
上記は評価が高い本なので、後日必ず読んでみたいと思います。
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まとめ
先日、平本あきお著『ビジネス瞑想』をご紹介しましたが、本書の著者・藤由達藏氏のコーチングの師匠が平本あきお氏なのだそうです。
たしかに本書でも、瞑想はマインドチェンジの際の重要な手法になってました。
ということは、この本は『ビジネス瞑想』とも相性が良いのかもしれません。
成功するには行動し続けることが前提になるのですが、本書ではそれがなぜできないのか、続かないのかの説明からはじまります。
そのうえで改善方法を示してくれるので、とても理解しやすい本だと思いました。
行動について悩んでいる人は買って損のない本だと思います。