グルテンフリーに興味があり、『ジョコビッチの生まれ変わる食事』(ノバク・ジョコビッチ著・タカ大丸訳、三五館)を読みました。
グルテンフリーとはグルテンを使わない食事のことです。
グルテン (gluten) は、小麦、ライ麦などの穀物の胚乳から生成されるタンパク質の一種。麺類やパンなど、小麦加工品を作る上で弾性や柔軟性を決定し、膨張を助ける重要な要素となっている。
※引用:ウィキペディア「グルテン」
セルビアの英雄ジョコビッチが食事をグルテンフリーに変えたきっかけは、2010年1月の全豪オープン、ツォンガ戦でした。
ジョコビッチはそれまでも何度となく、あともう一歩というところで原因不明の喘息のような発作が起こり、試合に勝つことができませんでした。
その日も途中で倒れこんだのですが、偶然テレビでその様子を見ていた栄養学者が、この症状は喘息ではなく食べ物によるものだと見抜いたそうです。
その学者は偶然にもジョコビッチの祖国、セルビア出身だったので、知人を介してジョコビッチに伝えられたとのこと。
そこから食生活を変えて18ヶ月後、ジョコビッチは体重を5キロ落とし、完全な健康体でウィンブルドン1位と世界ランキング1位をものにしたのでした。
この体験から深い気づきを得たジョコビッチは、グルテンフリーはアスリートだけでなく、一般に広く通用する食事法だと考え、本書を執筆することにしたそうです。
本書に書かれていることは、どれも自身のつらい体験から紡ぎだしたものなので、とても説得力があり貴重です。
それでいながらグルテンフリーの効果が客観的に説明されているので、とても実践的な本だと思いました。
本書はグルテンフリーに興味がある人はもちろんのこと、ジョコビッチのストイックな1日のスケジュールも知ることが出来るので、生活習慣の参考にもなる本です。
面白いことに、グルテンフリーは身体だけでなく、脳に関しても有効に作用するとのこと。
こうなると、あとは日本人に通用するのかが気になるところですよね。
それについては「あとがき」で、訳者・タカ大丸氏がグルテンフリーの体験談を書いているのですが、結論では「日本でこそ、通用する」のだそうです。
それでは以下に、本書の概要や感想などを書いてみたいと思います。
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本書の内容と構成
第二集団でもがくだけの存在だったプレーヤーは、なぜテニス界絶対王者に君臨することができたのか?
何を、どう食べたらいいのか?―人生好転・肉体改造のための設計図を自らが明かす。
「私がこの本を書こうと思ったのは、私ならあなたの肉体だけでなく人生すべてを変えられる―それもたったの14日間で―と知っていたからだ」(ノバク・ジョコビッチ)
[ジョコビッチからあなたへの提案] グルテン(小麦などに含まれるタンパク質)を14日間だけやめてみて、どういう気分になるか試してみてほしい。そして、15日目に、パンを少しだけ食べて様子をみてほしい。体が発する声に耳を傾けてほしい。
「食事がジョコビッチのプロ生活を劇的に変えたのは間違いないと思います」(杉山愛、「解説」より)
「今の錦織圭選手がさらに上を目指そうとするなら、必要なのは技術や体力のトレーニングではありません。栄養・食事指導です」(白澤卓二・順天堂大学大学院医学研究科教授、「解説」より)
付録にはジョコビッチの「王者のレシピ」&「おすすめ食品」を収録。すぐに使える実践篇。
【目次】
序章 私を生まれ変わらせた食事―わずか18カ月でドン底から世界王者へ
第1章 バックハンドと防空壕―すべてのプロテニス選手が富裕層のカントリークラブから出てくるわけではない
第2章 夢を叶えた、私の食べ方―私はどうやって世界一のテニスプレーヤーになったのか?
第3章 オープンマインドになるだけで体は変わる―あなたの人生を激変させる14日間
第4章 あなたの動きと思考を邪魔するもの―頭と体を密かに鈍らせているものの正体
第5章 食事に関する、私のルール―勝利するための食卓
第6章 圧倒的成果を出す、思考のトレーニング―集中力強化とストレス解消戦略
第7章 誰でもできる簡単なフィットネスプラン―ビジネスにも日常にも活かせるエクササイズ
訳者あとがき
解説① 小麦断ちがこんなに効果をあげるワケ-白澤卓二
解説② プロテニスプレーヤーが見るジョコビッチのすごさ-杉山愛インタビュー
本書は約240ページ。
特に最後の「訳者あとがき」と「解説①、②」は日本人が本書の感想を述べてますのでとても参考になりました。
私はデスクワークが主なので、グルテンフリーが思考に与える影響を考察している、第4章と第6章に興味を持ちました。
その部分を中心に、実践したいと思ったことをメモしてみたいと思います。
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本書で一番好きなページ
私ごとですが、第6章が一番面白かったです。
ここではグルテンの陰謀論めいたことや瞑想の方法などが書いてありましたので少しだけ紹介してみます。
・グルテン陰謀論?
著者が世界を回る中で感じたことは、「負」を撒き散らしているのは社会最上層の一部の人とのことです。
私の見るところ、製薬会社と食品会社は人々に恐怖を植え付けようとしている。彼らは、人々に病気になってもらいたいのだ。
どれほどのテレビ広告がファストフードと薬品に割かれていることか?そしてこういう広告の根本にあるメッセージとは何か?「われわれの製品を使えば、気分をよくしてやる」。
さらに根底を見ればどうか。「私たちが必要だと言っているものがまだまだあなたには足りないのだ、と恐れさせてやる」。
完全な健康体の視聴者にさえも、「今のままでいるにはサプリメントが必要だ」と言い募るではないか。(155ページより)
そして、著者が信じる方程式は下記になります。
良い食べ物、運動、心がオープンであること、前向きなエネルギー、そして偉大な結果だ。幸いにもここ数年、私はこの方程式の中で生きている。
どう考えても、製薬会社・食品会社が勧める代用品よりこちらのほうがいい。(156ページより)
・瞑想方法
負の感情が出てきた時でも、自分自身のエネルギーを維持するための手法があるそうです。
「マインドフルネス」(留意)は、現在ある考えをあるがままに客観的に、善意の判断をせず受け入れる瞑想の一種とのこと。
著者はこれを毎日15分ずつ行っているといいます。
まずは5分間、時間をとってほしい。(中略)静かに座り、自らの呼吸、今のその瞬間、そして今感じている肉体のうごめきに集中する。考えは浮かぶがままにしておく。
いろいろな考えが浮かんでは消え、収拾がつかなくなるはずだ。だが、それが本来の姿なのだ。あなたがすべきは、浮かんでは消える考えをそのままにしておくことだ。
今感じている体内のうごめきは本物だと思えれば成功だ。だがあなたの頭に浮かぶ考えは違う。単に頭の中に出てきただけだ。目指すべきゴールはこの2つを切り離せるようになることだ。(157ページより)
ジョコビッチいわく、瞑想を学んでしばらくすると、何かがかみ合ってくるそうです。
だから他の人の思考も同じように働くと思うとのことでした。
ちょっと難しいですが、少しはイメージできそうです。
その他、ジョコビッチ流睡眠法などいくつかも参考になりました。
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その他勉強になったページ
遺伝子組み換え小麦について
今日において、小麦はわれわれが摂取するカロリーの20%を占めている。さらに悪いことに、最近の小麦及びその他の穀物は、人体にさらにダメージを与えるような遺伝子組み換えが行われている。
農業遺伝子工学を研究する科学者たちの研究によると、遺伝子組み換え小麦――今日地球上で食されている小麦のほぼ100パーセントだ――に含まれるグルテンは、自然界に存在するものとは構造的に異なるという。(90ページより)
日本では遺伝子組み換え小麦の割合はまだ低いと思いますが、アメリカから相当入っているという噂も聞きますし飼料用にも使われていると聞いています。
著者は続けてこう言います。
小麦は健康的な食品だと言い続けることは食品業界の利益にかなうのだ。だが、小麦が増えれば増えるほど病的肥満、糖尿病、心臓病などの健康問題が増えてくる。
「健康的」な全粒穀物により、薬品の消費がさらに増える。こうして食品業者はさらに豊かになり、製薬会社も儲かる。そして私たちは病気がひどくなる。(91ページより)
アルコールについて
アルコールについてはよく聞かれる質問だそうです。
著者は、麦芽を使っているビールや小麦から蒸留されたウォッカは飲めないそうですが、ときどきグラス1杯の赤ワインを飲むそうです。
これはアルコール飲料だとは思っていない。ある種の治療薬のような物であり、聖なる飲み物だと考えている。赤ワインが心臓に良いという研究についてはだれしも聞いたことがあるはずだ。(141ページより)
ただし大会中はアルコールは一切飲まないそうです。
感想&まとめ
本書を読んで、グルテンフリーにとても興味を持ちました。
ただ、小麦類はいたるところに使われていますのでコスト面といかに妥協していくかが鍵になりそうです。
例えば醤油にも小麦が使われているので、たまり醤油を近くのスーパーで確認したところ、そちらにもしっかりと「小麦」の文字が…。
スーパーレベルでは、小麦を使ってないたまり醤油はないのかもしれません。。
細かいことを言えばインスタントコーヒーも良くないそうで、なかなか完璧は難しいようです。。
それでも今までに比べると意識するだけでもかなり減らせると思うので、少しずつ減らしていこうと思っています。
ジョコビッチはまずは2週間、グルテンフリーをやってみることを勧めています。
その後パンを一切れ食べたら身体に悪い反応が起こるそう。
にわかには信じがたい話ですが、小麦は血糖値が砂糖よりも上がりやすいとも書いてあるので、今後は小麦を極力減らしていこうと思います。