堀江貴文の本 『ゼロ』 感想~ホリエモンの名言と弱点

堀江貴文(ホリエモン) ゼロ


 

堀江貴文氏の本を今まで読んだことがなかったので、まずは『ゼロ―なにもない自分に小さなイチを足していく 』(ダイヤモンド社)を読んでみました。

ご存知、著者は通称ホリエモンとして知られていますが、2006年に証券取引法違反で逮捕。

いわゆるライブドア事件ですが、タイトルの「ゼロ」の意味は、本書発行の2013年に著者が刑期を終了し、文字通りゼロからスタートという意味があるようです。

 

私ごとですが、2006年に著者が逮捕されて株式市場が急落したことで数百万損したことがあり、それ以来、大人げないのですが著者に良い印象を持っていませんでした。

でも年数が経つとこれがいい経験になり、何事も自己責任だということを身を持って学ばせてもらった気がします。

そんなことを思い出しながら『ゼロ』を読んでました。

 

それはともかく、本書は著者の生い立ちから刑期終了までを、自叙伝的な視点でまとめた本になります。

服役中のエピソードや著者の弱点、特殊な家庭環境についてかなり詳しく書かれていますが、そこから著者が何を学んで今に活かしているかも書いてありますので、考え方についてとても参考になる本でした。

以下、この本について感じたことなどを書いてみたいと思います。



スポンサーリンク

本書の内容と構成

誰もが最初は「ゼロ」からスタートする。
失敗しても、またゼロに戻るだけだ。
決してマイナスにはならない。
だから、一歩を踏み出すことを恐れず、前へ進もう。

堀江貴文はなぜ、逮捕され、すべてを失っても、希望を捨てないのか?
ふたたび「ゼロ」となって、なにかを演じる必要もなくなった堀江氏がはじめて素直に、ありのままの心で語る、「働くこと」の意味と、そこから生まれる「希望」について。

【本書の主な目次】
第0章 それでも僕は働きたい
第1章 働きなさい、と母は言った──仕事との出会い
第2章 仕事を選び、自分を選ぶ──迷い、そして選択
第3章 カネのために働くのか?──「もらう」から「稼ぐ」へ
第4章 自立の先にあるつながり──孤独と向き合う強さ
第5章 僕が働くほんとうの理由──未来には希望しかない
おわりに

※引用:Amazon『ゼロ』

 

ゼロの自分にイチを足す

本書のサブタイトルは「なにもない自分に小さなイチを足していく」ですが、具体的にはどういう意味なんでしょうか。

著者はいわゆる悩み事相談を多く受けるそうですが、中でも「ラクをしながら成功する方法」を求める質問が多いそうです。

著者いわく「掛け算の答」を求める人が多いとのことですが、そこは必ず「足し算」でなければいけないと説きます。

 

それは、ゼロになにを掛けてもゼロだからですが、だからこそ小さなイチを足していくことが成功の秘訣だと語ります。

「小さく地道な一歩を踏み出す。ほんとうの成功とは、そこからはじまるのだ。」という言葉はとても身にしみました。



スポンサーリンク

 一番印象に残ったページ

著者は30代半ばまで、女性と普通に話をすることが出来なかったそうです。

一人っ子で男子校ということもあって、女性に対するコンプレックスを強くしていったそうですが、状況が結構詳しく書かれていたので、自分の若いころと重なって苦笑してしまいました。

あなたが仕事や人生に怖気づく理由」と題した章で、その原因を探っています。

僕は、女の子の前で挙動不審になっていた。キョドりまくっていた。目を合わせることもできず、声をかけられても逃げるように立ち去っていた。

自分が女の子とまともに話せるような日がくるとは想像もつかなかった。じゃあ、対人関係全般を苦手としていたのかというと、それは違う。(中略)

いまとなっては、よくわかる。結局これは、女の子を前にしたときの 「自信」の問題 なのだ。

そして僕には、 自信を形成するための「経験」が、圧倒的に不足していた のだ。(94ページより)

 

著者は、こういうことは恋愛に限ったことではなく、行動を起こせない人全般に共通することでないかと述べています。

そういう人は、僕が女の子にキョドっていたように、仕事や人生に怖じ気づいているのだ。仕事にキョドり、人生にキョドっているのだ。

仕事と目を合わせることが出来ず、大きなチャンスからは逃げ回り、人生に向き合うと頭が真っ白になる。けれど同時に、仕事や人生と仲良くなることを強く願っている。

どう振る舞えばいいかわからず、あたふたしている。まさに、女の子を前にしてキョドっているオタク少年と同じだ。(94ページより)

キョドるのは、性格やルックス、学歴や収入、社会的な地位とは関係なく、ひとえに「経験」の問題だと著者は語ります。

 

そして、

経験とは、経過した時間ではなく、自らが足を踏み出した歩数によってカウントされていくのである。(95ページより)

と結論づけています。

著者の場合は、ヒッチハイクの旅で自分の殻を破ることが出来たそうですが、私も含めて普通の人はなかなかその一歩が踏み出せないんですよね。。



スポンサーリンク

役立ったページ

著者は東大受験時に英語の実力が足りなかったのですが、それを単語帳の隅から隅まで、派生語や例文も含めて丸暗記したそうです。

そして見事東大に合格。そのコツを引用してみます。

勉強でも仕事でも、あるいはコンピューターのプログラミングでもそうだが、歯を食いしばって努力したところで大した成果は得られない。

努力するのではなく、その作業に「ハマる」こと。なにもかも忘れるくらいに没頭すること。それさえできれば、英単語の丸暗記だって楽しくなってくる。(76ページより)

何事も、得意や苦手で判断せず、目の前の作業にハマることがコツだといいます。

没頭するコツは「自分の手でルールをつくること」。

そしてルールづくりのポイントは「遠くを見ないこと」だそうです。

人は本質的に怠け者だ。長期的で大きな目標を掲げると、迷いや気のゆるみが生じて、うまく没頭できなくなる。

そこで「今日という1日」にギリギリ達成可能なレベルの目標を掲げ、今日の目標に向かって猛ダッシュしていくのである。(130ページより)

このあたり、かなり参考になりました。

 

感想&まとめ

全体的にかなりためになることが書かれているので、予想以上に読後感はよかったです。

本書で、著者が終始一貫して訴えたいことは「働くことの大切さ」なのだと思います。

もっとも、この本が書かれたのが刑期終了直前だったので、著者は働くことに対して特別な思いがあったのかもしれません。

どんなにたくさん勉強したところで、どんなにたくさんの本を読んだところで、人は変わらない。自分を変え、周囲を動かし、自由を手に入れるための唯一の手段、それは「働くこと」なのだ。(34ページより)

 

最後になりますが、著者は服役中に1000冊の本を読んだそうです。

その中で一番感動した本は、重松清著『とんび』

服役中の心境と過去の自分と重なって、読みながら滂沱(ぼうだ)の涙を流したそうです。

 

今回、著者の本は初めてでしたが、他の本も読んでみたいと思いました。