自閉症スペクトラムと子供が診断されたら…おすすめの入門書

自閉症スペクトラムがよくわかる本


 

自閉症スペクトラムとは何なのか。

うちの子にとても関係する障害ではあるものの、自閉症スペクトラムとはどんな障害なのか、またアスペルガー症候群とはどのように違うのか、いまひとつ理解できていません。

この障害についてわかりやすく書かれている本を探したところ、『自閉症スペクトラムがよくわかる本』(本田秀夫著・講談社)を見つけました。

はじめは、「スペクトラムってなに?」のレベルでしたが、この本を読んだらある程度は理解できてました。

こちらではこの本で学んだことをいくつか書いてみたいと思います。

 

本の概要

この本は100ページほどの本ですが、予備知識がない人でも「自閉症スペクトラム」について理解できるように、わかりやすく解説されています。

すっと入ってくるのは、比較的新しい「自閉症スペクトラム」という障害名が、どんな理由で何から派生してきたのか、背景からきちんと説明されているからだと思います。

イラストも効果的です。

 

著者の本田秀夫氏は、東京大学医学部医学科を卒業、今は信州大学医学部附属病院子どものこころ診療部部長・診療教授。(本書籍発刊時)

著者については、「日本自閉症協会理事」と書いたほうがわかりやすいかもしれません。

下記はこの本の目次になります。

第1章 自閉症スペクトラムとはなにか
第2章 「対人関係」と「こだわり」が2大特徴
第3章 気づいてから、診断を受けるまで
第4章 各種機関で「支援」を受ける
第5章 生活面では2つのスキルを身につけたい

以下に第1章の基礎的な部分について、勉強になったところをまとめてみたいと思います。



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自閉症スペクトラムについて

自閉症スペクトラムとは

スペクトラム=集合体のことです。

自閉症の仲間には「(知的障害をともなう)自閉症」「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」などがあります。

それら自閉症の仲間の特徴はある程度共通しているので(対人関係が苦手、こだわりが強いなど)ひとつの集合体として対応しようということになりました。

このことから自閉症の仲間は「自閉症スペクトラム」に包括されることになりました。

 

自閉症スペクトラムの人口

ある程度コミュニケーションが取れる軽度の自閉症も含めると、自閉症スペクトラムは人口の約10%が該当すると言われています。

けっして珍しくない障害ということが数字からもよくわかりますね。

近年の文部科学省などの調査によれば、小学生で発達に気になる様子が見られる子の割合が全体の10%程度と示されています。

そのなかでも自閉症スペクトラムの特徴のある子が、かなりの割合を示すと考えられます。(12ページより)

 

自閉症スペクトラムの特徴

自閉症スペクトラムは、必ずしも生活上の支障になるとはかぎりません。本質的には病気や障害、症状ではなく、その人特有の性質です。

とくに、発達の仕方の違いとして現れてきますから、特有の「発達スタイル」と考えるとよいでしょう。(14ページより)

育児書によくある「発達の目安」は自閉症スペクトラムの子には当てはまりません。

それは目安よりも早く育つ部分もあれば遅い部分もあるからで、この本いわく、けっして「発達の目安」をノルマにしないようにとのことでした。

 

アスペルガー症候群と自閉症スペクトラムとの違い

アスペルガー症候群は自閉症の特徴がありながら、知的能力や言語の発達には遅れが見られない障害です。

アスペルガー症候群は以前、自閉症や高機能自閉症と同じく「広汎性発達障害」に含まれていました。

現在は、以前のような細かな区分はなく、ひとまとめで「自閉症スペクトラム」の一部としてとらえられています。

これは専門家のとらえかたが変わったり、国際的な診断分類が改訂されたため、今後は自閉症スペクトラムまたは自閉症スペクトラム障害で統一されるようです。



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自閉症スペクトラムの原因は?

自閉症スペクトラムは、先天性の障害ということはわかっていますが、原因の詳細はいまだ不明です。

今でも誤解が多いのですが、親の生き方や育て方によって発症するという噂はデマなのでご注意ください。

だから当然、親が責任を感じる必要はありません。

ただ、家庭環境によって症状が悪化したり良くなったりすることは十分考えられるので、育て方には注意を払ったほうがよさそうです。

 

特に注意する必要があるのは二次的問題

まわりの子と強調できないことから学校でいじめにあったりし、心理的なストレスで不登校になる子が多いためです。

早いうちから対策や注意をしておきたいところですね。

 

まとめ

以上、基礎の一部分をメモしただけですが、ページ数の割には内容が詰まっている本だと思いました。

それにしても、障害名についてはやっぱりわかりにくいですね。

それだけ区分けが難しいのだと思いますが、今回の改訂で少しは理解しやすくなったのでしょうか。

ただ、実際の症状はなにも変わらないので、同じくくりでも、中身は多種多様になるのだろうと思います。

かえって混乱しなければよいのですが。。

 

ところで昨年の10月だったと思いますが、セサミストリートに自閉症キャラが登場しましたよね。

ジュリアという女の子なのですが、自閉症の子の数が増え続けているアメリカの現状を如実に物語っていると思います。

日本でもそのようなキャラクターが登場すれば、一気に理解が進むのかもしれませんね。