従来のアンチエイジング(抗加齢)医学では「酸化」が注目を浴びていましたが、今「糖化」がそれ以上に話題になっているようです。
牧田善二著『老けたくないなら「AGE」を減らしなさい~カラダが糖化しない賢い生活術』(ソフトバンク新書)には、「糖化」の害が詳しく書かれています。
著者は糖尿病専門医であり、数少ないAGEの専門家でもあります。
ここで、タイトルの「AGE」(エージーイー)がキーワードになるのですが、このAGE、なんでも老化にとって ”人類最大の敵” だそう。
著者も恐れるこのAGE、いったいどんな物質なんでしょうか。
その予防策も含めて、この本で少し勉強してみたいと思います。
AGEsについて
AGEs(エージス、エイジス、エイジズ)とは、Advanced Glycation End Products の略語であり、終末糖化産物、後期糖化生成物 等と訳される。タンパク質の糖化反応(メイラード反応)に因って作られる生成物の総称であり、身体の様々な老化に関与する物質(より正確に言えば、生体化学反応による生成物)と言える。(中略)
AGEsは糖尿病、アテローム性動脈硬化症、慢性腎不全、アルツハイマー型認知症等の変性疾患(英語版)を悪化させると言われる。糖尿病の血管系合併症の原因ともされる。活性酸素に因る細胞障害を加速し、機能を変化させるという。
※引用:ウィキペディア「AGEs」
老化の原因は「酸化」(活性酸素が体の細胞を傷つけること)が原因と言われていますが、今回のテーマは酸化ではなく、「糖化」の産物であるAGE。
人間の体は水分と脂肪を除くと、ほとんどタンパク質でできています。
そのタンパク質と糖質が結びついて、タンパク質が劣化するのが「糖化」。
糖質は日々の食事から得られるカロリーの半分をしめているので、人間は糖化から逃げることが出来ません。
そこで問題となるのは、糖化されたタンパク質から、ある悪玉物質が大量につくられること。それが、活性酸素をはるかにしのぐ老化の元凶「AGE」です。(18ページより)
以前から、おこげは発がん性物質だと言われてました。
パンケーキ、食パン、焼きおにぎり、お好み焼き、たこ焼きなどなど、タンパク質と糖質を含む食材を加熱すると褐色になりますが、その”おこげ”の部分にAGEが大量発生するんです。
がんやアルツハイマーの原因ともいわれるAGE。
日々の暮らしの中でどのようにして対策を立てればよいのか、この本はそこのところを教えてくれています。
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本の概要
この本は大きく7章に分かれています。
はじめに
第1章 AGEとは何か?
第2章 AGEを防ぐ食生活1 食品からAGEを摂らない
第3章 AGEを防ぐ食生活2 ビタミンBとカテキンを摂る
第4章 AGEを防ぐ食生活3 糖質を制限する
第5章 AGEを防ぐ3つの生活習慣
第6章 アンチAGEで肌をいつまでも若々しく保つ
第7章 アンチAGEで糖尿病の合併症を防ぐ
おわりに
上記の目次のように、第1章でAGEの説明、それ以降でノウハウ的なことが書かれてあります。
範囲が幅広いため、こちらではわたしが気になったことのみ取り上げたいと思います。
詳しくは、ぜひ本を読んで参考にされてください。
AGEを減らす3つの生活習慣
・食後すぐに歩く
・酸化ストレスを避ける(タバコ、日焼け)
・お酒を適度に楽しむ
糖質を含む食事をすると15分以内に血糖値が上がるそうです。
食後すぐ歩くことは、この食後の高血糖から生じるAGEを減らすのが目的とのこと。
食べ終わった後すぐに、20分位歩きます。少し早歩きする程度でOK。
踏み台昇降でも効果があるそうです。
筋トレによる方法も書かれていますが、これはとても参考になるのでぜひ本を読んでください。
基本、腕立て、腹筋、スクワットくらいでいいそうです。
うれしいことに適度なお酒はAGEに有効とのこと。
飲んでもOKなのは、焼酎、ウイスキー、ブランデー、ジン、ウォッカなどの蒸留酒。
糖質を含む醸造酒は、赤ワインが糖質が少なくポリフェノールも含んでいるのでおすすめだそう。
ただ全体的に言えば、糖質を含むビールや日本酒を飲んでも食後の血糖値の上がり方は緩やかになることからAGE対策になるとのことです。
もちろん、おつまみには気をつけなければいけないそうですが…。
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食べると効果が期待できるもの
・ビタミンB1
豚肉、きな粉、大豆食品、ウナギ、ゴマなど。
ニンニク、ニラ、長ネギ、タマネギに含まれるアリシンはB1の働きを助ける。
・ビタミンB6
牛肉、鶏肉、カツオ、マグロ、ニンニク、赤ピーマン、サツマイモ、クルミ、落花生
ビタミンB群は水に溶けやすいことで知られていますが、それゆえ体内にストックされず尿から排泄されてしまいます。
このため、サプリメントから大量のビタミンB6を摂ることも、AGE対策に重要とのこと。
・カテキン
カテキンはポリフェノールの一種。
殺菌作用、悪玉コレステロールを減らす作用もあるため、カテキンが含まれる緑茶は健康に有効とのこと。
ただし、ココアは巻末の表では、他の飲み物と比べてAGE値がダントツに高かったのでご注意を。
・α-リボ酸
ほうれん草、ブロッコリー、ニンジン、トマトなどの緑黄色野菜に多く含まれています。
・ポリフェノール
カテキンもポリフェノールの一種ですが、赤ワインも有効だそうです。
ポリフェノールは一度にたくさん摂っても持続的な効果は期待できません。ポリフェノールを含む食品を毎日少しずつ摂るようにすると、抗酸化システムの衰えをカバーして酸化を抑え、AGEに打ち勝つことができます。(76ページより)
食べるとき要注意なもの
・ラーメンライス
一番避けたいのは、麺類とご飯類がセットになったメニュー。
大量の糖質が一気に体内に入るため、AGEがつくられやすくなるそうです。
・濃縮還元のフルーツジュース
果汁ミックスの野菜ジュースも要注意。
AGEだけでなく脂肪肝の原因にもなるそうです。生の果物を適量食べるのは問題ないとのこと。
・単純糖質といわれる、ブドウ糖、砂糖、果糖
消化の必要がないため、一気に体内に吸収され血糖値を上げ、AGEをつくりだします。
具体的には、チョコレート、アイスクリーム、大福、まんじゅう、ケーキやクッキー、清涼飲料水。
特に清涼飲料水は、冷たくして炭酸を加えると甘さをあまり感じなくなるので要注意とのことです。
※これ家内は絶対無理かも。。どう説明したらいいのか…。
・ポテトチップスやフライドポテト
AGEの中でも超悪玉AGEとなる、アクリルアミドという物質があります。
直接的にがんを進行させる物質とも言われており、そのアクリルアミドの含有率が高い食品として、ポテトチップスやフライドポテトが上がっています。
大好きなのでかなり悲しいところです。。
・その他メモ
魚介類よりも肉類のほうがAGEは多い
AGEは「焼く、炒める、揚げる」で爆発的に増える。茹でる、煮る、蒸す」に調理法を変える
淹れたてのコーヒーよりも入れて保温されているコーヒーの方がAGEは高くなる
醤油や味噌は大豆のタンパク質が糖化したもの。照り焼きのような調理法は避けたほうが無難。
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勉強になったところ
・最強ドリンクは「緑茶+豆乳」
「緑茶+豆乳」はビタミンB1、B6、カテキンの組み合わせになります。
実験によりAGE阻害効果が得られることがわかっているそうです。
この実験を踏まえて私が提案する抗AGE食品が、「カテキン豆乳」。カテキンとビタミンB1、B6が同時に補える優れた飲み物です。(68ページより)
レシピは、大さじ一杯の緑茶の粉末(市販品あり)を200mlの豆乳に混ぜるだけ。
これを1日1~2杯飲めばいいそうです。
今日はこれだけで、この本を読んだ値打ちがありました^^
・糖質は摂取しなくても生きられる
理論的には体脂肪がなくならない限り、糖質を摂らなくても生きていけるそうです。
理由は、脂質、タンパク質、糖質の3大栄養素のうち、糖質だけは肝臓(非常時は腎臓も)で作ることができるからです。
また、人類400万年の歴史の中で、穀物を栽培するようになったのは1万年前、庶民に精製した砂糖や小麦粉が手に入る用になったのはたかだか200年前。
だから著者いわく、3食とも糖質を大量に摂取する生活は、人類の食の歴史では異常なのだそうです。
日本人に糖尿病が多いということもなんとなくわかりますね。
ちなみに欧米の一般的なメニューは、主食は付け合せで、食卓の中心は肉類や魚介類とのこと。
運動不足の人が、1日3回主食を欠かさず食べるのは、はっきり言って食べ過ぎ。活動量が落ちる夕飯で摂ったカロリーは余って太りやすくなりますから、できるなら夕飯は主食を抜くようにしてください。(89ページより)
今日から試してみたいと思います。
まとめ
上記の他にも肌を若々しく保つ方法など、参考になる部分が数多くある本でした。
一冊持っていてもいい本だと思います。
わたしは最近、甘いものや麺類を多く摂る習慣が増えてきたので、今日から食事に注意していこうと思います。。