読書で一番ネックになることは何でしょうか。
わたしの場合はやっぱり時間でした。
映画を観るのも時間がかかりますが、本も1冊読むのに同じかそれ以上の時間がかかりますよね。
どこから出すのその時間…、というジレンマについつい陥ってしまいます。
本を読まなければならないことを前提とすれば、限られた時間で何を読むのか、そしてどう読めばいいのか。
その答えがこの『魂の燃焼へ』(執行草舟&清水克衛著・イーストプレス)という本に書いてあります。
著者の2人は読書好きにとっては神レベルの存在です。
その2人の対談で展開される読書論はとても得るものが多いです。
決してベストセラーやハウツー本の紹介はないですが、本好き人間に興味のある本ばかりが次々と紹介されていきます。
何のために読書をするのか、また読書で人生を変えることは可能なのか。
その問にもしっかり答えてくれる本です。
今回、こちらの本について学んだことを少し書いてみたいと思います。
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本の概要と読むきっかけ
読者に感動を運び続ける「本のソムリエ」こと清水克衛が、知る人ぞ知るベストセラー『生くる』『友よ』で注目の思索家、執行草舟に迫った対話集。
仕事とは何か、愛とは何か、青春とは何か、国家とは何か、生命とは何か、そして人生とは何か。
魂を燃やして生き、悔いなく死ぬためのヒントがここにある!
◎本は「わかろう」としてはいけない
◎この「沈黙」が人間の魅力をつくる
◎ハウツー本に人生の答えは載っていない
◎武士道が教えてくれる「本当の生き方」
◎人に負けないたったひとつの極意
◎「横野郎」なんかになるな
◎「死」を乗り越える必要はない
◎私たちは目覚めなくてはならない※引用:Amazon 『魂の燃焼へ』
これからどんな本を読んでいけばいいのか、迷っている人におすすめの一冊です。
著者の2人がどのような読書論を話してくれるか、わくわくしながら読み始めたのですが、読書論にとどまらず期待以上の内容でした。
わたしがこの本を読んだきっかけは、2年ほど前に執行草舟氏の『生くる』を買ったこと。
とても衝撃的な内容だったのですが、最近またその本を読みなおしたことから、執行氏と清水氏の対談本に興味を持った次第です。
勉強になったところ
◆読書の本質について
執行氏は、最近「答え」を求めて本を読む人が多いことを嘆きます。
すなわち「~の方法」などのハウツー本のたぐいですが、読書の本質について執行氏は下記のように述べています。
答えなんかじゃなくて、「問い」を見つけることが大切なんだ。(中略)
答えというのは、自分の人生においての実践の中から見出すものなんですよ。答えは本に載っていない。答えを本の中に見つけようとしちゃだめなんだ。(36ページより)
自分が死ぬまで問い続ける問題、それを見つけ出すのが読書なんだ。(中略)
どんな難しい本でも、何かを問われているんだと思えば、簡単に読めるんです。若い人たちにはそういうふうに読んでもらいたい。(37ページより)
◆難しい本の読み方
上記引用には、難しい本の読み方が書かれていましたが、難しい本を読むコツとして、本を「わかろう」としないことも大切だそうです。
執行氏は小学生の頃から古典を読んでいたそうですが、なぜ読めたかというと内容をわかろうとしなかったからとのこと。
本はわかろうとしちゃだめです。共感し、共振するのが読書なんだ。つらいものをつらく感じ、面白いものを面白く感じ、難しかったら難しいなあ、なんにもわからないやと、「共に感じる」ことが大切だと僕は思っている。(中略)
わかるものを読んでいても、人間は成長しない。わからないものを読むから、そのうちわかるようになるんです。(執行氏:29ページより)
今後の読書の指針にしたいと思います。
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◆仕事で悩んだ時は
仕事で悩んでいる人に、仕事の本はだめなんですよ。これは法則ですよね。仕事で悩んでる人には、かえって恋愛小説のほうがいいぐらいで。逆に恋愛で悩んでる人が仕事の本を読むといいんですよ。(執行氏:74ページより)
これは意外ですが、清水氏いわく、同じ悩みに関する本は、脳の同じところしか使わないから解決できないと、脳科学者の茂木健一郎氏が話していたとのこと。
◆執行草舟氏の座右の銘と人生を生きるコツ
執行氏の座右の銘は、「不合理ゆえにわれ信ず」という言葉だそうです。
矛盾はあればあるほどいいそうで、それを解決しようと思って生きるのが人生だとのこと。
むしろ、矛盾を大好きにならなきゃ。人生を生きるコツは、矛盾をどう楽しむかに尽きます。その矛盾を、僕は「運命」と呼んでいるんです。(192ページより)
◆自分の悩みは解決するか
自分のことで悩むことはよくあることだと思いますが、そのことについて下記の執行氏の言葉が目からウロコでした。
うんと大ざっぱに言うと、自分にかかわる悩みは解決しないと思っておいたほうがいい。僕の経験だと、自分自身に関することで悩むやつは、どんどん悩みは深まる。(執行氏:228ページより)
だから自分のことより、たとえば武士道や愛、歴史や友人の心配などを考えているやつは、たぶん落ち込まないだろうとのこと。
◆印象に残った言葉
新しい言葉っていうのは、その多くが人をごまかすためにつくられているんですよ。(執行氏:20ページより)
昔の人が使っていた言葉を大切にすると、必ず本当のものがわかるようになりますよ。(執行氏 :21ページより)
一行でも感動したらその本は読んだ価値があるんですよ。むしろ一行だけのほうが「もの」になるかもしれない。(執行氏:31ページより)
いちばん戦後がよろしくないのは、戦争の反省のしすぎで、武士道そのものを悪だとしてしまったことですよ。(執行氏:131ページより)
まとめ
今後の読書の羅針盤になる有益な本でした。読んで良かったです。
今まで難しそうな本は、興味があっても二の足を踏んでいたのですが、この本のおかげでその壁が低くなりました。
本からは、答えを見つけるのではなく、何を問われているかに焦点を当てること、また、本を「わかろう」としないこと。
この考えは次回からいかしていこうと思います。